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名もなき毒

宮部みゆき著 幻冬舎刊

コンビニに置いてある紙パックのドリンクに青酸カリが混入される無差別連続殺人事件が起きた。社内報「あおぞら」編集部に勤める私は、アルバイト従業員の原田いずみを巡るトラブルで、私立探偵の北見氏を訪ねた時に偶然事件の被害者の孫と知り合いになる。原田いずみが引き起こすトラブルがどんどん大きくなっていく中、連続殺人は犯人の自首で解決したかと思われたが…

編集部員の杉村が活躍するシリーズ2作目。

自家中毒という病気があるけれど、原田いずみというアクの強いキャラクターを見ていて浮かんできたのがそれだった。自分の毒が自分を傷つける。人間の出す毒が何よりも一番強い。その中でも一番強いのが、自分が出している毒なのではないか。毒を出してる「他人」を探してもそんな人は誰もいない。自分で自分の敵を作り出している事に気付かない限り、毒を中和することは出来ないのだから。

そんな事を考えながら読んでました。前作に比べても人情物の色合いが強く、読後感は悪くないんだけれど、何だかほろ苦い。他人が他人を助けることには限度があって、何とか自分の家族や大切な人を守るのに精一杯。物わびしい気持ちになるけれど、仕方がないことなんだよなあ。
by yamanochika | 2008-12-19 01:37 | 国内作家
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