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沙蘭の迷路

ロバート・ファン・ヒューリック著 ハヤカワミステリ刊

記念すべきディー判事シリーズの1作目。講談社、ちくま文庫を経て今回が3回目の出版。新訳に、初出時の松本清張の前文、江戸川乱歩の解説がついた決定版。

4番目の任地、蘭坊に向かったディー判事一行は、街近くの街道で追いはぎに襲撃される。追いはぎを捕らえ、街についてみると前任の知事はとうに出立した後、政庁には荒れ果ていた。街を支配する地方の有力者に対抗し、早速治安回復を図るディー判事。更に、引退した将軍が密室で殺害された事件、かつて尊敬を集めた都督の未亡人と義理の息子との遺産争いなど難問が降りかかる。都督の遺産は、彼が残した一幅の絵と迷路に隠されているようなのだが…

基本的には三題噺。3つの大きな問題があり、それを繋ぐようにして話が進行していく。暗号を解き明かす迷路の謎、密室殺人を解決する将軍殺人事件など、ミステリの王道を行く話も面白いのだけど、その地方独特の風俗味が豊かに出ているところに一番面白味を感じた。一番最初の話から、既にディー判事シリーズの原型が定まっているのにも感心。これで長編はあと3冊。早く読んでみたいけど、あと3冊だと思うと途端に寂しくなるなあ。
by yamanochika | 2009-04-28 01:32 | 海外ミステリ
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