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ハマースミスのうじ虫

ウィリアム・モール著 創元推理文庫刊

犯罪収集が趣味のキャソン・デューカーは、ある日クラブで堅物の銀行家が痛飲しているのを目撃する。彼に水を向けて話を聞くと、架空の事実を基に脅迫を受けたのだという。バゴットと名乗る男に興味を持ったデューカーは、同一人物と思われる男が過去に別の脅迫事件で被害者を自殺に追いやっている事を知る。バゴットを追いつめることを決めたデューカーは少ない手がかりから容疑者を絞り込み、張り込み、特定、接近と犯人に迫っていく…。

容疑者の生活習慣や趣味を調べ上げ、彼が好むような人物になりすまし、友人として接近するやり方は探偵というよりも諜報活動のよう。決して快い性格とは言えず、卑劣な犯罪を行っている人物だが、犯人が追いつめられていく様は恐ろしい。著者は実際に、学生時代にスカウトされMI5で働いていた経歴の持ち主で、退職後に書かれたのがこの小説なのだそうです。そう聞かされると、かなり納得。
by yamanochika | 2009-10-04 22:47 | 海外ミステリ
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