P・J・トレイシー著 集英社文庫刊 ミネアポリス警察署殺人課シリーズ
ヴィレッジ・ブックスから移行したシリーズ2冊目。 ミネアポリスで老人が銃で撃たれたあげく、線路に縛り付けられてショック死する事件が起きる。更に、付近に住む老人が射殺され、事件は連続殺人の様を帯びてきた。マゴッツィとジーノは死亡した老人達の共通項を見つけようとするが…。 ミネアポリス警察署の刑事達が主人公、ということになっているけど作品の半分を占めるのは前作でも登場したモンキーレンチ。彼らのIT知識はちょいとチート設定な気もするけど、警察の捜査と、裏口を覗くような彼らの能力があわさって突破口を開いていくのが気持ちいい。 前作もそうだったけど、連続殺人が起きても殺人者や殺害方法の粘っこい描写は割合少ない。今作では、被害者と報復、というテーマがあり話に重たさを添えている。聖人のようだったという老人とその息子の話よりも、脇を固めるランガー刑事の話の方が辛かった。 登場人物達の会話は軽妙で面白く、重たい内容を、重たさを感じさせずに進めることが出来る。グレースとマゴッツィの関係は微妙な進展を続けていて、過去の体験のため自宅の中でも銃を携帯していで歩くことが出来ないグレースとは毎晩食事をして見つめ合っているだけ。にも関わらず、それ以上のことをしている話よりも彼らの間に通っているものが伝わってくる気がする。 ただ、1作目を出したヴィレッジ・ブックスだとレーベル傾向としてミステリでも恋愛色が強めな作品が多いので、この内容だと出版社移管があったのは仕方がないだろうなーと思いました。まあ読者としてはどのレーベルから出ていても作品が読めれば特に文句はないんですが。
by yamanochika
| 2009-11-13 01:08
| 海外ミステリ
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