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暗殺のジャムセッション



ロス・ローマス著 ハヤカワミステリ刊

冷戦最中のドイツから帰還したマックコールは恋人のフレドルと結婚し、ワシントンでマックの店を再開した。そこに死亡したことになっていた相棒のパディロが転がり込んでくる。彼が来ると同時にフレドルが誘拐され、パディロはアフリカ某国の首相を暗殺するように強要される。フレドルを救うためマックコールとパディロは行動を開始するのだが…。

「冷戦交換ゲーム」の続編。といっても私前作を読んでないのですが、独立した作品なので単品で十分に楽しめました。国家ぐるみの犯罪に巻き込まれ、暗殺を実行しても殺害されるのは明白。フレドルを救うには暗殺を実行するようにみせかけて時間を稼ぎ、その前に居場所を突き止めて彼女を救うしかない。そこでパディロやマックコールが悪党たちを集めて色々な作戦をたてるわけですが、お互いに相手を信用してないし、相手が裏切ることを想定して計画を立てている。その騙し騙されのコンゲームがものすごく面白い。いわゆるジェットコースターもののようなふり幅はないんですけれど、その分あそこで出てきた伏線がここに生きているのか!という驚きや、何度も読み返す楽しさがあると思う。

登場人物たちの立場を考えるとスパイものに分類してもいいのかもしれませんが、スパイとして活動していようと、基本的に金と「自分の得になるか」が彼らの行動原理なので思想が行動原理となるスパイものとはまた違う感じ。その分何故そんな行動をとるかが分かりやすくて読みやすい。
by yamanochika | 2010-03-15 01:18 | 海外ミステリ
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