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修道女フィデルマの洞察


ピーター・トレメイン著 創元推理文庫刊

修道女フィデルマシリーズの短編集第二弾。

日本独自編集ということですが、本国では1冊の短編集に纏められているものが、日本では何冊かに分冊されているのいうのが実情のようです。今回の収録作品は5編。最初の長編が出版される前に発表された作品もありフィデルマの設定が固まっていない話も。長編ではかなり込み入った感情の縺れが描かれたり、アイルランドの歴史背景が深く絡まった話になるのですが、短編は推理にネタが集中した話になっているので、推理小説として楽しむなら短編の方が楽しめるかも。

収録作品は以下の通り

「毒殺への誘い」
「まどろみの中の殺人」
「名馬の死」
「奇跡ゆえの死」
「晩禱の毒人参」

作品としては短いけどある種の「神意」が感じられる「奇跡ゆえの死」が一番印象に残っています。

「毒殺への誘い」はいわゆる密室もの。誰が毒を入れることができたか、を整理していくと一人しかう容疑者が浮かんでこないのですが、そこまでして人を傷つけたい、というその悪意には圧倒される。

「名馬の死」は割合長めの作品。結婚以外の男女関係について、女性にも愛人を持つ権利が法律で認められていた事に驚いた。しかし馬、可哀そう。
by yamanochika | 2010-07-22 01:33 | 海外ミステリ
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