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今をたよりに

ジル・チャーチル著 創元推理文庫刊

グレイス&フェイヴァーシリーズ第6弾。

今回は、ロバートが町の郵便事情改善策を出し、その実現の為に奮闘する姿とドイツからもどってきた移民の男性が嫌がらせを受けた事件の解決、更にグレイス&フェイヴァー荘の敷地に生えていた木の根元から発見された白骨遺体…の3つが絡みながら話が進んでいく。このシリーズはリリーとロバート兄妹を通じてアメリカの田舎町の30年代を描くこと、に主眼が置かれているのだけれど、今回は今までで一番ミステリー色は薄い。というか、ミステリ部分ではウォーカー署長の奮闘ぶりが目立っていて、ブルースター兄妹はそれぞれ別々の事に手を出しているんですよね。

こういう普通の人が主人公の話の場合、主人公たちがいつも殺人事件に巻き込まれて捜査に手を出すのもおかしな話なので、話としてはバランス取れていてよかったです。ただやっぱりリリーが活躍してくれないと物足りない。その代わりにロバートが徐々に地に足が着いた人物になってきて、それは喜ばしい事なんですが。(リリーはロバートに比べると最初から現実的に足が地についていたから)

本国でもまだ続きが出ていないそうなので、続刊が待ち遠しいところです。
by yamanochika | 2011-07-23 23:21 | 海外ミステリ
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