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鳥は星形の庭におりる


西東 行 著 講談社WH文庫刊

世界観がきっちり作り込まれていて、その世界の中で、頭が良くて勝気な少女が懸命に頑張る、というお話。プルーデンスの頭のよさは一歩間違うと嫌味なキャラになってしまうんだけど、13歳という年齢と、家族の愛情を欲して苦しむ姿がいい感じに健気さを加味している。勝気さに裏打ちがあるのが、可愛いんですよね。まだ子供と大人の境目で、知性は大人顔負けでも感情を割り切れるほど大人にはなれず、辛い目にあっても打ち負かされずに立ちあがってくる姿に応援したくなるんだろうなあ。

迷宮に囲まれた神秘の塔、そして名前のない青い衣の吟遊詩人、等々世界の様相にも惹かれます。プルーデンスが巻き込まれる陰謀が子供だましではなく、きちんと危険な目にあってるのもいい。若干少女小説というよりも昔の児童文学(って「赤い月と黒の山」とかあの辺の)な雰囲気なんですが、プルーデンスと吟遊詩人の関係が、ちょっぴり甘さを含んでて少女小説になってるのかな。別れの雰囲気といい、プルーデンスのその後が読みたい!という気持ちが溢れてくるんですが、残念ながら同じ世界での別の話はあってもプルーデンスのお話はないみたい。
by yamanochika | 2012-04-26 00:39 | ライトノベル
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