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ぴんとこな 1-9



嶋木あこ著

歌舞伎を題材にした少女漫画。昔から絵はすごく上手い作家さんだったんだけど、本作は話もそれなりに練れてきていて面白い。

昔は真面目だったけど、今は自分のファンが見ているのはどうせ上辺だけ、とダメ御曹司の見本のようになっていた恭之助。ある日劇場で清掃のバイトをしていた女の子あやめに芝居について強烈なダメだしを食らい、実は同級生の彼女に関わる内に歌舞伎への情熱を取り戻す。一方、門閥外ながら真面目で実力が認められ若手の成長株となっている澤山一弥。彼もまた小学生の頃、初恋の少女あやめによって歌舞伎に出会い、歌舞伎役者への道を志した人間だった。

という名門の御曹司恭之助と門閥外の実力者一弥が対比され、二人の間にはあやめがいて…という三角関係な地点から始まるんだけど、メインとなるのは何と言っても歌舞伎の舞台。ライバルとは言っても相手を蹴落とすわけではなく、切磋琢磨して舞台に精進していく感じなので、むしろ話が進むにつれてあやめの影が徐々に薄く。何と言っても絵が綺麗なので舞台の場面が見ごたえあるんですよね。読んでいると歌舞伎見に行きたくなっちゃう。話としても恋愛沙汰より歌舞伎の話の方が面白いので、舞台の話が増えるのは大歓迎。

今は熱心に練習を積んでいた一弥の方が実力が上なんですが、恭之助の魅力は華があること。多少ぎこちなくても、その人に目がいってしまう華があるんですよね。性格も表裏ないし。その分アホだけど、アホなワンコは可愛いよね!ってことで私は恭ちゃん派です。倒れたあやめの為にぼろアパートに通って世話をしたり、一弥の名前で花を贈ったり、健気さにほだされた。お父さんが胃がんっぽく、更に後ろ盾を失った御曹司なんて…的なフラグもたっていてちょっと不安ですが、頑張って欲しい。

一方、一弥も恭之助の光に敵わなくて、自分は上手いけど華が無いと悩んでたりして、芸に対してはストイックな所がいいよね。恋愛関係については、師匠のお嬢さんと出世の為に関係結んで婚約したり、色々爛れてますけども。お嬢さんとの関係は段々昼ドラ並にドロドロしてきましたがどう決着付けるんだろう。お嬢さんは恋愛的なアレはまあ頭悪い子だなーで済むんだけど、歌舞伎役者の練習を止めさせてまでやらせることが自分の着物選び。アレを悪気なく出来る所がすごいと思う。他人の気持ちを考えて、思いやることができない子なんだよね。この子の着地点は気になります。

10巻はがっつり舞台かな?楽しみ
by yamanochika | 2013-06-16 15:03 | 漫画色々
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