青木祐子 著 集英社コバルト文庫刊
雑誌に載っていた短編の長編シリーズ。3作掲載された内でこのシリーズが一番長編読んでみたかったので嬉しい。イラストは、雑誌のカスカベアキラさんの方がメイドさんぽかったけど、表紙カラーはキラキラでやっぱり人目引くなあ。
お話としては短編よりも前、シャノンが初めてロイと出会い最初の事件を解決するまで。ヴィクトリアン+ミステリーという好きな要素に、青木さんの得意な辛い恋愛話が混じっていて面白かったです。当時は男性はある程度成功して、財力を得てから若い妻を迎えることも多かったので、メイベルとデヴィット位の年齢差ならつり合いが取れているレベルだと思うんだけど、相手からあからさまに嫌悪されているのが丸わかりな婚約者も辛そう…。というか生きている時に会えなかったノエラさんが悲しい。その分主人公コンビは爽やかなんですけれども。それにお屋敷にいたメイドさん達も、個性があって面白い。皆本宅に戻っちゃったけど、ちょろっとでいいから出てきて欲しいな。
伏線として二人が実は過去に出会っていた…というのが分かる形で張られているので、これが解消する所までは続いて欲しい。シャノンがロイと会うのに気合を入れてまつ毛を整えたり、髪型もかなり気を入れたものなのに、同時に完璧な使用人であることを目指しているからロイの前では冷静で有能なメイドそのものになる辺りがすごく可愛い。これがロイ視点で見ると、短編みたいになるのか。