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外交特例


ロイス・マクマスター・ビジョルド著 創元推理文庫刊

3月に買ってから寝かせてたマイルズシリーズをようやく読破。

結婚から1年経ってようやく銀河宇宙への新婚旅行に出ることになったマイルズとエカテリン。しかし帰途についた彼らに故郷からの急使が入る。グラフ・ステーションに留められたコマール船籍の船から護衛のバラヤー艦隊の士官が消え、現地でコマールの通商団が足止めされ混乱が起きているという。この問題を平和裏に解決して欲しいと皇帝直々の依頼を受けグラフ・ステーションに向かうのだが…

物語の鍵を握るのは消えた士官の行方。彼に何が起きたのか。自分から行方をくらましたのか、あるいは殺害されたのか。舞台となるのは足の代わりに4本の手を持つクァイディー達の住む自由落下宇宙。なんですが、SF要素は薄く、ミステリーやその陰にある謀略を解く方がメイン。自由落下宇宙が舞台なのは、かつての友であるベル・ソーン再登場の為に一番ふさわしい舞台であったからではないかという気がします。

マイルズが拘り続けた士官の行方は確かに事件の謎を解き明かす鍵となり、そのあたりは非常にSF的であるんですが、作中で圧巻だったのはマイルズがファーカとの間に一種の信頼関係を築いて行った彼からの尋問。あの辺の話術の巧みさ、人心掌握の上手さがマイルズの真骨頂だと思う。

ところで今回一番気になったのは後書きで、未刊行のシリーズ作品記載が消えたこと。マイルズの人生の物語として今まで以上にキリがいい所で終わっているのでこの後の刊行予定が気になるんですが、これで終了しちゃうんでしょうか。せめてイワンの番外編は読みたい…。英語勉強して言語で読めっちゅー話で終わっちゃうんだけどさ。
by yamanochika | 2014-06-23 00:34 | SF・FT
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