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失踪者

シャルロッテ・リンク 著 創元推理文庫刊

イングランドの田舎町に住むエレインは幼馴染のロザンナの結婚式に招待されジブラルタルに向かうが、濃霧のために空港に足止めされ、親切な弁護士宅に一泊したあと失踪してしまう。5年後、エレインを招待したロザンナは、ジャーナリストの仕事で失踪し行方が分からないままの人物について調査する為にイギリスに帰国する。やがてロザンナの下にエレインを知っているという男から連絡があり…。

いくつかの事件や問題が絡み合いながら最後に一つの事件にまとまっていく。元々は別のものだったものが故意に絡まり合わされてたというべきかもしれない。
失踪したエレインは家庭に問題を抱えており、彼女が事件に巻き込まれたと思う人物もいたものの、全てを捨てて失踪しても仕方がないと思われていた。彼女の事が再び調査されて明らかになっていくのは、そういった人物の背景だったり、登場人物たちの抱える問題であり、一つを除いて「事件」の要素は薄い。なので、ミステリとしてよりも人間ドラマとして読む話だと思う。
最終的にはこれしか考えられないだろうという結末に辿り着くのだが、そこにいくまでに色々な種が播かれているいるので、文庫のあらすじに書かれていたような衝撃的な結末とは感じなかった。

by yamanochika | 2017-03-12 15:24 | 海外ミステリ
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