ジーン・ウルフ著 ハヤカワノベルズ
22世紀のアメリカが舞台のSFであり本格ミステリ。 図書館の書架に住まうE・A・スミス。ミステリ作家として活躍していた彼は、生前の彼の脳をスキャンし作家の記憶と感情を備えた複生体であり、図書館の蔵者として所蔵されている。 そのスミスの元へ、コレット・コールドブルックと名乗る若い女性が訪れる。彼女の父と兄が相次いで亡くなり、兄の死の直前にスミスの著書「火星の殺人」を渡された彼女はこの本に兄の不審死の謎が隠されているのではないかと考えたのだ。 スミスは彼女に借りだされ、推理小説家としての知識を用いながら彼女の兄の死の謎に迫っていくが 人間でありながら、人間ではなく物として扱われ生まれる前から機能の制限がされているという複生体の設定がなかなかエグい。エグいもののそこを前面には押し出さず、ミステリとしての謎解きが主体。 理論的に謎を解き明かしていくスミスの言動と、彼に課せられている制限や、複生体の置かれている状況、悲哀が上手く絡まっていて面白い。 続編が企画されているそうですが、ぜひ読んでみたい。
by yamanochika
| 2017-07-30 19:18
| 海外ミステリ
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