樹脂

樹脂

エーネル・リール著 ハヤカワノベルズ刊

デンマークの僻地に住む一家。ほぼ自給自足で暮らす一家の暮らしは、何年かぶりに訪ねてきた祖母によって揺り動かされ、やがて破滅へと向かっていく。愛する者を突然失った経験から、男は変化を受け入れることが出来ない。子供の頃に父に見せられた、樹脂にくるまれ何年もたった虫のように、周りのものを留めることに執着していく。
妻を得、新しい家族が出来たことで好転するかに思われた男の生活は、新しい悲劇によって閉鎖的な方向に進んでいく。

彼の、彼の家族の樹脂にくるまれたような生活の様子が幼い娘の視点から、やがて男の家族や他の人間の視点から語られていく。おかしい、と切り捨てることは簡単だが、衝撃的な場面から始まった物語から目が離せない。語り口が上手く、まだ幼い少女の視点が入ることで物語に爽やかさがあり、男の悲劇をじっくり読ませる内容になっている。
全てが終わった後に、ひっそり怖さが残るのもいい。

[PR]
by yamanochika | 2017-12-13 23:14 | 海外ミステリ

日々読んだ本の記録。他映画、漫画等の感想などあれこれ。感想はネタバレありです。ご注意下さい。
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31