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死のドレスを花婿に

ピエール・ルメートル著

「その女、アレックス」を読んでから続けて読んだルメートル作品もこれで最後。
読み終わった後に後味の悪さが残るイヤミスでした。

最初は、キャリアを重ね幸せな結婚生活を送っていた女性ソフィが記憶障害を起こし、転落していく姿が描写される。記憶が飛んだ後に、自分が何をしているか分らない。ついには殺人事件を起きるが、自分が犯人なのか、そうではないのかさえ自分で確信がもてない。追われるままに逃げる彼女の追い詰められた姿と逃亡生活が切々と描写されたあと、一転して彼女を追いつめ、「病気」になるように仕向けた男が登場し、事件の裏側が語られていく。

最終的に、ある意味すっきりする展開にはなるものの、犯人の追い詰められ方も後味が悪く、しかし彼がやった事を考えると当然の報いでもあり、しかしながら追い詰められた姿を見るとやはり後味が悪い。最低の男なのに、なんだか同情してしまう。それが嫌な後味になって残るのだと思う。
復讐が終わったところで、ソフィの失ったものが戻ってくるわけでもないしねえ。

by yamanochika | 2018-01-19 00:18 | 海外ミステリ
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