コロラド・キッド

b0011021_114689.jpg

スティーブン・キング著。

新潮文庫のダークタワーの懸賞で応募した人がもらえるキャンペーン賞品。一応一万人に当たる!ということになってましたが、一度他社で文庫化されている作品の第一部~第三部まで全部購入してなおかつ懸賞に応募する人がそんなに多いとは思えないので、応募してればほぼ貰えているんではないでしょうか。それでも契約の関係で、単独での文庫化が出来ない作品なので、読めるのは素直に嬉しいです。黒い紙の多分原書と同じ装丁なのかな?タイトルが浮き彫りになっているのが良い感じ。

ハード・ケース・クライムという叢書の一冊として刊行された本作は、当然のように超常現象が出てくる事の無いミステリ。オハイオ州に浮かぶ小さな島の新聞社に大学の就業体験研修で働いているステファニーが新聞社を構成する二人の老人からかつてこの島で起きた未解決の事件について話を聞く、という構成になっています。

この昔話は、「コロラド・キッド」と呼ばれることになったその男に何が起きたかを探求する新聞記者の情熱の物語であり、同時にステファニーに対する老人達からの試験でもあります。
なぜなら彼女がどういう反応を示すか、どんな疑問点を示し、どのように思考するか。そしてどんな解決策を示せるか、を試している話でもあるからです。

「コロラド・キッド」を巡る物語は最初から未解決というだけあって、作中でも何が彼にそうさせたのか、という謎は解決しません。あらゆる不可能事を消していき、最後に残ったものが真実だという言葉通り、彼がどのような行動を起こしたのかを推測することは出来るのですが、彼が何故、その行動を起こしたのかは謎のままです。人生そのものと同じように。

むしろ、話として印象に残るのは「彼が何をして、どのようにこの島まできたか」を解き明かそうと行動を続けた新聞記者達の情熱。報道とはどのようにあるべきか、の姿が示されているように思う。
[PR]
by yamanochika | 2006-06-13 01:33 | SF・FT

日々読んだ本の記録。他映画、漫画等の感想などあれこれ。感想はネタバレありです。ご注意下さい。
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30