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獣たちの楽園

ジェフリー・ディーヴァー著。文春文庫刊。

1936年、ベルリンオリンピック。アメリカのギャングに雇われていた殺し屋ポール・シューマンは逮捕を免れることを条件に、ベルリンでナチス要人の暗殺を依頼される。しかし、着いた当日現地案内人との接触時にトラブルが発生。ドイツ警察に追われる身となってしまう…。


ディーヴァー初の歴史物。ドイツ系アメリカ人ポールと、彼に狙わる要人ラインハルト・エルンストの二人の視点で交互に話が進むのですが、エルンストの目を通じて描かれるナチス内部の権力争いがリアルで面白い。ポール視点の話では、殺人容疑者である彼を真摯に追いかけるクレポのヴィリ・コールのキャラクターがいい味出してます。追ってから逃れるために色々と知恵を絞るシューマンとそれを追いかける知恵比べが、戦争と迫害へと突き進むドイツの現状と絡めて書かれていて、読み応えのある作品に仕上がっている。
by yamanochika | 2006-07-30 23:09 | 海外ミステリ
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