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バッド・ニュース

D・E・ウェストレイク著 ハヤカワ・ミステリ文庫刊。

天才的犯罪プランナー(端的に言えば泥棒だ)にして世界一不運な泥棒ジョン・ドートマンダーの活躍するシリーズの最新作。

ドートマンダーシリーズの醍醐味はドートマンダーがいかにすごい犯罪計画を立て窮地を切り抜けるかそしてどのような不運に見舞われるかの2点にかかっていると思ってます。ドートマンダーは決して犯罪に失敗するわけではないんです。計画は天才的。頭の切れも素晴らしい。ただものすごく運が悪いだけ…!そして彼を見舞う不運の数々に腹を抱えて笑う、というのが読者の(趣味の悪い)楽しみなわけで。今回もやってくれました。すごいですよー、右往左往しながらも犯罪は完璧に成功したのに、まさかあんなオチが来るとは…。もうさすがドートマンダーとしか言いようがない。

今回ドートマンダー達が一枚噛むのは大がかりな詐欺なんだけど、作中では、被害者も含めて誰もが幸せになった完全犯罪を行っていたりもして、実入りが0で無かった分昔よりましなんじゃないかと思うけど、それにしても最後がすごい。本の帯に付いている「史上最も不運な泥棒がついに完全犯罪に成功!」という煽り文句は嘘ではありません。本当に成功してます。成功しているのに(笑)。

ドートマンダーの次の不運が楽しみです。
by yamanochika | 2006-08-22 00:23 | 海外ミステリ
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