京極夏彦 著。
妖怪シリーズ(というべきなのかどうか)の最新作。今回も分厚いです。前作が分厚い割に、ここまでページ数割かなくても書けたのでは、という内容だったので危惧していたのですが、今回は前回より面白く読めました。 東京の下町で端を発した毒殺事件は、神奈川・大磯で起きた事件と結びつけられ、連続毒殺事件として捜査が開始される。全く異なる状況で起きた事件が何故すぐに連続殺人とされたのか。疑問を抱く青木刑事は、事件の側面を調査する。一方、榎木津との縁談が持ち上がった相手に何か不幸が起きるらしい、という曖昧な謎を調べる益田は、気付かぬ間に事件に巻き込まれていた…。 一つの事件を、違う人間から眺めるだけで全く構図が異なっていく。その共鳴の様が、事件に関わった人物達から語られていく様はもどかしいような遅さで少しずつ進展していく。その中に、青木、益田が絡み、事件の全く外から語られることによって、構造が見えてくるという展開だろうか。後半以降の、一気呵成に進んでいく辺りからぐいぐい読み応えが増していく。ただし、昔の作品にあったような重量感にはやや欠けているか。 今回、メインになるのが青木、益田の両名で、探偵や木場刑事は出ているけれど、端をかすめていく程度。榎木津にいたっては、今までにないくらい真面目でシリアスというある意味驚きの展開。でもその位の方が作品としてバランスが取れているのかも。
by yamanochika
| 2006-10-07 02:44
| 国内作家
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