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ギフト 西のはての年代記

アーシュラ・K・ル・グウィン著。 河出書房新社刊

高地に住む人々には、氏族によって異なるギフトと呼ばれる特別な才能が備わっていた。その内の一つ、カスプロの族長の息子、オレックは強すぎるギフトを持つが故に、両目を封印して生きていた。低地からやってきた旅人、エモンに高地について問われ彼に物語を語る内に、オレックは高地の歴史を、父と母の話を、そして自分自身についての歴史を思い起こしていく…

16歳のオレックの話を、大人になったオレックが振り返って語っているという設定で、高地での厳しい暮らしぶり、氏族達の争いが書かれているが、全体としてはオーソドックスな少年の成長の物語。自分の中にあり(そして本当は気付いている)真実に目を向けたとき、初めて自分を取り巻いている小さな檻を破ることが出来る、ということになるのでしょうか。恐ろしい戦いが起きたり、悲しい死が訪れたりするのですが、少年が本当のギフトに気が付き成長していく、爽やかな読後感の話です。

三部作ということで、次作は南の低地が舞台となるようですが、何らかの超能力のように思えるギフトの謎、聡明なグライが推測していたように、前向きの力となるのかどうか、続きが気になります。
by yamanochika | 2007-03-22 01:23 | 児童文学
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