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魔使いの呪い

ジョゼフ・ディレイニー著 東京創元社刊

魔使いを最初魔法使いかと思っていたんだけど、全く別物でした。魔使いは人間に害をなすゴーストやボガート、邪悪な魔女を退治する職業。しかし魔女狩りが盛んに行われている時代背景で、教会から異端視されている為、見つかれば拷問の上火あぶりにされてしまう。七番目の息子の七番目の息子トムは、人とは違う能力があり、魔使いの弟子となった。その魔使いとトムの活躍を書いたシリーズの2作目にあたるのが本書です。というか1作目は読んでないんですが、基本話が1話完結なので1作目を読んでいなくても大丈夫。

大聖堂のある町の地下、カタコンベに巣くう古代からの悪霊ベインを退治するために魔使いとトムが活躍するお話なんですが、この悪霊の描写やカタコンベの描写がとても怖い。夜に読むのはお勧めしないと書かれていましたが、ホラー小説なみに怖いダークファンタジーなので、読んでいてゾクゾクすること間違いなし。

悪霊の存在も恐ろしいのですが、実際に起きていた魔女狩りの描写はより救いが無く惨たらしい。人間はどこまで残忍になれるのか、という見本のような出来事ですね。魔女狩りが話のメインに持ってこられているので、当然魔女狩り長官や聖職者達により女は魂の無い存在だから救われない的な「魔女への鉄槌」に出ていたような言葉が続くんですけれど、それを覆すかのように元気なアリスやトムの母親の活躍に胸がすく思い。

時代背景もあり、陰鬱な雰囲気の中、悪霊からのプレッシャーや、悪霊よりも恐ろしい魔女狩り長官に狙われながらも地道に努力するトムを応援しつつ最後はどうなるんだろうとハラハラしながら読み進めましたが、最後の最後でアリスにやられました。

1巻目にも出てきたようですし、これからもアリスは話に絡むのかな?
by yamanochika | 2008-05-25 11:31 | 児童文学
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