パトリシア・A・マキリップ著 創元推理文庫刊
「チェンジリング・シー」がいまいち食い足りない感があったので、8月刊の短編集を購入。 書かれた時期はまちまちの短編15作が収録。これぞファンタジーというものから、童話を元ネタにしたもの、その他バラエティに富んでいて面白かったです。 個人的にはジュヴナイル色が強い「トロールとふたつのバラ」や「バーバ・ヤーガと魔法使いの息子」が面白かった。 「音楽の問題」はマキリップらしいファンタジー。結構暗くて重い。 「ドラゴンの仲間」は、若くはない女性の集団が主人公。主人公の述懐がしみじみ笑える。あとは、童話パロディの「雪の女王」と「ライオンとひばり」。 雪の女王は、アンデルセン童話を近未来の夫婦の話に、ライオンとひばりは時代設定はそのまま。雪の女王は夫婦が愛を取り戻すまでの話。大体雪の女王パロディではカイがヘタレ男、ゲルダが可憐で健気だけれど強い女性、になっていることが多い気がします。よく考えたら元の話でもそんな感じか。 ライオンとひばりは、ストーリーは童話のままなんだけれど、ヒロインの思考がリアル。その辺は「ドラゴンの仲間」に似ているかなあ。ある意味現実を転換したような話になってるんですよね。
by yamanochika
| 2008-09-16 23:50
| SF・FT
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