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長い長い殺人

宮部みゆき著 光文社文庫刊

ある男性のひき逃げ事件を基点として起きた連続保険金殺人が、事件に関わった人達の財布が持ち主について語る形で綴られていく。

作品構造を見ていると、犯人像や犯人の行動はより深い形に進化して「模倣犯」に引き継がれてる。先に「模倣犯」を読んでいるので、犯人や犯行動機についてはこれが原型なんだな、という感想しかないのだけれど、それぞれの個性をもった財布達の語り口は面白い。

持ち主に合わせて、あるいは持ち主とは違って気の良い財布達が、持ち主の変わりようを嘆いたり、彼らの行動を心配したり。連続殺人の話だし、やるせない話が多いのだけど、彼らの語り口調に救われている気がする。
by yamanochika | 2008-10-21 01:19 | 国内作家
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