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1/4のオレンジ5切れ

ジョアン・ハリス著 角川書店刊

「ショコラ」を書いた作家による<食の3部作>3作目。と言っても前の2作と関連があるわけでもなく、私が読んだ事があるのも同作家によるミステリの「紳士達の遊戯」だけなんですが。この作品も作中は様々な果実を使った料理に彩られていますが、どちらかというとミステリ色の強い内容になっています。

かつての故郷で名前を伏せてひっそりと暮らす64歳の老婦人フランボワーズ。現在の彼女の暮らしと、9歳当時の思い出が語られていき、やがてフランボワーズが9歳の時に起きたある事件に焦点を結ぶ…といった内容。ナチス占領下のフランスで起きた悲劇というべきか、お互いに強情で譲ることが出来なかった親子の悲劇というべきか。

最後に起きた悲劇よりも、珍しく晴れ着を着て、フランボワーズに優しく接しようとし娘に拒絶された母親の姿の方が痛かった。
by yamanochika | 2008-11-20 22:01 | 海外ミステリ
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