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出口のない農場

サイモン・ベケット著。ハヤカワミステリ刊。

フランスの田舎町。車内に血の付いた車から逃げ出した怪しげな男ショーン。しかしショーンは森の中で罠に掛かり足に傷を負って近くの農場の娘マティルドに助けられる。マティルドは彼の看病を黙々と続けてくれるが病院に連れて行こうとはせず、一家の父親は家族以外を敵視している。農場には何が隠されているのか。
ショーンは怪我が治るまでの間農場の仕事を手伝い始めるのだが。

閉塞的な町の更に閉塞的な農場。のどかな雰囲気の中、何かが隠されており緊迫感が増していく。ショーンにもまた秘密があり、農場の秘密がじわじわ分かるのと同時に彼の過去もじょじょに明らかになる。
この話を読んでいると昔フランスであった殺人事件を思い出すんですが、家族の薄暗い秘密と救われなさが辛い。
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by yamanochika | 2017-01-21 17:19 | 海外ミステリ

虎狼

モー・ヘイダー著。ハヤカワミステリ刊

キャフェリー警部シリーズ。
村から離れた別荘に着いた両親と娘の三人家族が警官を装った二人の男に拘束される。彼らの目的は何なのか。一家がいたぶられる中逃げ出した一家の飼い犬が偶然キャフェリー警部の元にたどり着く。ウォーキングマンの示唆を受けながらキャフェリーは飼い主を探し始めるのだか。

謎の二人組に拘束された一家のそれぞれの様子と、彼らを探すキャフェリーの活動が交互に描かれ、犯人の目的、どうやって一家にたどり着くか、彼らは救出されるのかが最後まで分からず緊迫感が続いて面白かった。
更に前作や前々作から続いているエピソードが話の背景として存在しており話に深みを増している。最後に明かされた兄の話をキャフェリーはどのように受け止めて処理していくのか。
続きが楽しみ。
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by yamanochika | 2017-01-21 17:07 | 海外ミステリ

どぶとろ

半村良著 廣済堂文庫

本所で夜鷹蕎麦屋の老人が殺された。銀座の岩瀬家に仕える若者平吉は、主人がこの事件に関わっているのではないかと事件の背景を探っていくが。

初めに幾つかの短編があって最後に一つの長編として繋がっていく。短編を読んだときは人情物として読んでいたが長編で明かされる背景や結末はなかなか苦い。短編での登場人物に愛着があると尚更。平吉が選んだ未来はこれで良かったのか、何が彼の幸せだったのか考えてしまう。
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by yamanochika | 2017-01-21 16:59 | 国内作家

ゼルプの殺人

ベルンハルト・シュリンク著 小学舘刊

三部作の3作目から読み始めたので、掉尾を飾る作品を読んだという実感はない。
東西ドイツが統合した頃を舞台に、まだ乖離しているドイツの実情、老いと向き合うゼルプ、ナチスの亡霊とユダヤ人というドイツならではのキーワードが混じり合いながら、白黒ははっきりしない結末へたどり着く。東ドイツが消滅し故郷を失った人々、老いていく自分を自覚する老人。物悲しい雰囲気が漂いつつ、日常に戻って人生は続いていく。読後の味わいが何とも言えない。複雑な物語が展開し、ミステリとしての謎解きも存分にあるのですが、純文学を読んだ気分。
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by yamanochika | 2017-01-07 16:22 | 海外ミステリ

人形 ひとがた

モー・ヘイダー著 ハヤカワミステリ刊

ビーチウェイ重警備精神科医療施設は不穏な空気に包まれていた。かつてこの施設の職員だった小人の亡霊が現れるという噂があり、自傷行為で患者が死亡したことで職員にまで不安が広まっているのだ。施設の上級職員であるA・Jは悩んだ末に施設を退院した患者が関わっているのではないかと警察に相談するが…

キャフェリー警部シリーズもの。ですが、キャフェリーと施設職員のA・Jのダブル主役と言っても過言では無いほどA・Jとキャフェリーの2つの視点から話が進んでいく。点と点だった2つの視点が絡んだ時の収束の仕方、「物事は見かけ通りでは無い」という言葉が実感できる逆転の瞬間が見事。
A・Jの自己評価と他者評価の乖離がもどかしく、幸せになって欲しいと思いながら読んでいたので、最後の明るさを感じさせる終わり方にホッとした。
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by yamanochika | 2017-01-07 16:09 | 海外ミステリ

日々読んだ本の記録。他映画、漫画等の感想などあれこれ。感想はネタバレありです。ご注意下さい。
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