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失踪者

シャルロッテ・リンク 著 創元推理文庫刊

イングランドの田舎町に住むエレインは幼馴染のロザンナの結婚式に招待されジブラルタルに向かうが、濃霧のために空港に足止めされ、親切な弁護士宅に一泊したあと失踪してしまう。5年後、エレインを招待したロザンナは、ジャーナリストの仕事で失踪し行方が分からないままの人物について調査する為にイギリスに帰国する。やがてロザンナの下にエレインを知っているという男から連絡があり…。

いくつかの事件や問題が絡み合いながら最後に一つの事件にまとまっていく。元々は別のものだったものが故意に絡まり合わされてたというべきかもしれない。
失踪したエレインは家庭に問題を抱えており、彼女が事件に巻き込まれたと思う人物もいたものの、全てを捨てて失踪しても仕方がないと思われていた。彼女の事が再び調査されて明らかになっていくのは、そういった人物の背景だったり、登場人物たちの抱える問題であり、一つを除いて「事件」の要素は薄い。なので、ミステリとしてよりも人間ドラマとして読む話だと思う。
最終的にはこれしか考えられないだろうという結末に辿り着くのだが、そこにいくまでに色々な種が播かれているいるので、文庫のあらすじに書かれていたような衝撃的な結末とは感じなかった。

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by yamanochika | 2017-03-12 15:24 | 海外ミステリ

かくして殺人へ

カーター・ディクスン著 創元推理文庫刊

初めて書いた小説が大当たりを取ったモニカ。しかし小説の内容の事で毎日のように伯母から小言をくらい、家を飛び出してロンドン近郊にある映画会社の撮影所に赴き、脚本を手掛ける事になる。しかし、手がける作品は彼女が書いた小説ではなく、別の作家が書いたミステリ小説。さらに、何者かに命を狙われて…。

灯火管制下にあるイギリスが舞台とあって、これまた第二次大戦の影響が強く出た作品。若い女性であるモニカと、ミステリ作家であるカートライトの視点から書かれていて、この二人のラブロマンスの趣も。なんというか、作中に出てくる作品自体には何の関係もない映画にまつわる話をしている二人組を含めて、非常に「映画的」な内容になっている。タバコを巡るトリックはなかなか面白い。

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by yamanochika | 2017-03-12 14:19 | 海外ミステリ

貴婦人として死す

カーター・ディクスン著 創元推理文庫刊

戦時下のイギリスで、俳優の卵と人妻が失踪し2日後に遺体で発見された。心中事件として扱われるが、人妻と親しかった老医師ルークは2人は殺害されたものと信じ、事件について調査を進めていく。たまたまその地に滞在していたヘンリー・メルヴェール卿と行動を共にし、犯人探しを続けるのだが…。

第二次大戦初期を舞台にした作品。戦争が間近に迫ってくる前の話ではあるのですが、戦争の影響がそこかしこに見え、作中の犯罪にも影を落としている。崖に向かって続いている2組の足音。しかし、死亡した男女の死因を考えると、二人以外の人間がその場にいないのは矛盾している。
という「密室トリック」を崩すことが前提にあるように見えながら、実はトリックを解くことが主軸ではなく、「何故に」が一番のポイントになっているのがミソ。

しかし、HM卿のシリーズというとスプラスティック・コメディが浮かんでくるけど、本作も例にもれず。車いすに乗ったHM卿の巻き起こす騒動がすさまじい。思わず近所の犬に同情してしまう。これを映像で見たら面白そう。

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by yamanochika | 2017-03-12 14:12 | 海外ミステリ

日々読んだ本の記録。他映画、漫画等の感想などあれこれ。感想はネタバレありです。ご注意下さい。
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