ありふれた祈り

ウィリアム・ケント・クルーガー著 ハヤカワ・ミステリ刊

1961年、ミネソタ州の田舎町で穏やかに暮らしていた13歳の少年フランク。しかしある少年の死をきっかけにいくつかの悲劇が彼の周りに降りかかり…

子供時代の終わりを大人になった主人公が振り返る。作中で起きた殺人事件の解決が話の縦軸となっているものの、作品中でクライマックスとなるのは、主人公の父である牧師が葬儀の為に行った追悼の言葉と、フランクの弟が述べた祈り。どちらも彼らに関わる悲劇だけにとどまらず、普遍的な内容で平易な言葉で語られているだけに、静かな感動をもって伝わってくる。


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# by yamanochika | 2016-12-25 01:33 | 海外ミステリ

猟犬

ヨルン・リーエル・ホルスト著。ハヤカワミステリ刊。

17年前の誘拐殺人事件で容疑者有罪の決め手となった証拠は捏造されていた。当時捜査責任者となったヴェスティングは責任を問われ停職処分を受ける。新聞記者をしている娘リーネの支援を受けながらかつての事件を再調査し、真相を探るヴェスティングだが…

ノルウェー発のミステリ。17年前の事件を見つめ直そうと、一人静かに事件の再調査を始めるヴェスティング。一方娘のリーネは、撲殺事件の調査で犯人と遭遇したり父の為に刑期を満了した容疑者を尾行したり物語の中で動の部分を受け持つ。
2人の活躍により物語にメリハリが生まれ、その中で自分の、自分達の仕事は何のためにあるのかを考えるヴェスティングの思考が上手くハマってきている。
17年前に逮捕された容疑者は本当に事件の犯人だったのか。その謎と現在新たに起きた事件とが絡み合い、更に捜査陣の誰が証拠を紛れ込ませたのかという謎が最後まで物語を引っ張り、飽きさせない。

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# by yamanochika | 2016-12-24 16:51 | 海外ミステリ

何だか

PC立ち上げる事が少なくなって、感想書く回数も減ってしまったんですが、特に漫画やアニメの感想が減ってしまった。Twitterで喚くと満足してしまうのもいかんのか。オタクらしい感想を書くと、去年の12月から今年の3月までは映画ハイスピードに夢中になってて映画館に住んでいるんじゃないかという勢いで映画見に行ってました。
映画見るために亀有から本厚木まで通ってしまったよ!これだけ同じ映画見ることはもう無いと思う。前に同じ映画20回見に行ったという話を聞いてそんなに見に行けないと思ってたのに、自分が軽くその回数超えるほど同じ映画見にいくとは思わなかった。
小説のハイスピード2も青春部活小説で、部活や水泳をきちんと描きながら遙と周りの人間関係を深く掘り下げているのに感動したんだけど、映画はそれを更にキラキラさせた感じ。テレビでは描写がほとんど無かった遙のクラスでの姿や、部活風景を描きながら遙、真琴、旭、郁弥の4人が悩んだりぶつかったりしながら互いに絆を育んでいって最後に1つにまとまっていきリレーを泳ぐ姿がすごく良かった。先輩達や大人も見守ってくれているんだけど、お互いの悩みを解決するのがお互いなのが良かったし、家族が出てきてテレビよりも地に足が着いた描写になっているのもいい。
もう、物語のピースがここにハマってほしいという所にピタリとはまるので見ていて心地いいんだよね。その心地良さを味わう為に何度も通ったのかも。

ハイスピ以外だとズートピアに聲の形も良かったし、秋はユーフォ見て毎週揺さぶられてます。漫画はかげきしょうじょ!とか僕ときみの大切な話が面白かったです。小説だと今年は米澤作品をぽちぽち読み進めていて、「犬はどこだ」が今のところ一番良かった。古典部シリーズが好きだから「いまさら翼といわれても」が別格だけど。実写映画が公開される余波かアニメの一挙放送何度もやってくれるのもありがたい。

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# by yamanochika | 2016-12-10 13:37

カクテルパーティ

エリザベス・フェラーズ著。論創社刊。

弟の婚約者のためにファニーが開いたカクテルパーティの出席者が帰宅後に死亡した。原因はパーティで出された飲食物なのか。

パーティの出席者や出席しなかった人物が推理を出し合いながら真相に辿り着いていく。推理が出され別の人物がその推理を否定し新しい推理が出て、それが積み重なっていく様は同作者の「私が見たと蝿がいう」に似ている。ちょっとした悪意が散りばめられ読後は苦味の残る作品。
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# by yamanochika | 2016-12-10 13:24 | 海外ミステリ

灯火が消える前に

エリザベス・フェラーズ著。論創社刊。

第二次大戦中の英国が舞台。大学教授夫人のアリスが友人に招かれたパーティで、友人宅の階上に住んでいた人物が殺害され、パーティの出席者が犯人として逮捕される。パーティの出席者も被害者もアリスとは初対面であるが、逮捕された人物から受けた印象と事件の様相がかみ合わず納得のいかないアリスは、彼らをよく知っているパーティの出席者に彼らがどんな人物なのか聞き取りを始めるが…

証言を積み上げていくことで事件の解決に至る割とすっきりとした推理もの。ただ発表当時なら常識となっていただろう事柄が現在では一般的でないため、知識がないと真相にたどり着くのは難しい。会話だけで悲劇へ結びついていく手腕は見事。

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# by yamanochika | 2016-12-10 13:14 | 海外ミステリ

スティーブン・キング著。文藝春秋刊。

冒頭、深夜から就職支援センターに並ぶ失業者たちの行列から物語が始まる。夜明け近く、大勢の人の群れに霧の中を突然突っ込んできた化け物のようなメルセデス。なすすべも無く車の下敷きになる人々。

そして事件から数ヶ月後、退職した元刑事ホッジズの元に事件の犯人を名乗る男から手紙が届く。メルセデス事件はホッジズが最後に手掛けた事件であり、ホッジズは未解決の事件を解決しようと動き始めるのだか。

退職した元刑事と邪悪な天才犯罪者との対決を書いた作品。犯人は早い内から分かっているので、如何に犯人の意図を見抜き犯人に近づくか、犯人の次の犯行をどのやうに防ぐかが話のポイントになる。

ホッジズの老骨ぶりと、ホッジズに協力するようになるジェロームやホリーとのそれぞれの特技を生かした凸凹トリオも面白いけど、邪悪な犯人が間が抜けてる所があって、この間抜けなのに邪悪な所がキングの書く悪党らしくてすごくいい。
犯人との対決が深まる下巻は一気読みしてしまった。とにかく面白い。
あと2作の翻訳刊行が楽しみ。

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# by yamanochika | 2016-12-10 12:55 | 海外ミステリ

罪悪

フェルディナント・フォン・シーラッハ著。創元推理文庫刊

犯罪に続く短編集。オチがあるもの、苦いもの、様々な短編が収録されていますが一言で表せるような話は少ない。冒頭に収録されている「ふるさと祭り」はどこで起きてもおかしく無い事件。誰も救われない苦さとやるせなさが残る。

その他印象に残った話。
「鍵」ピカレスクノベルみたいな快感がある
「清算 」小さな町だからこそできるのか?法律が女性を救おうとする話

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# by yamanochika | 2016-11-20 12:30 | 海外ミステリ

ケイト・アトキンソン著。東京創元社刊

探偵ブロディの事件ファイル、その2
シリーズと言っても前作からの登場人物はブロディ本人と彼と付き合うようになったジュリアだけ。老婆の遺産を継いで探偵仕事をしなくてもよくなったブロディは念願のフランスで暮らしながら無為な生活を送っている。ジュリアが出演するエディンバラ国際フェスティバルを見るためにエディンバラを訪れたブロディは事件に巻き込まれ…。

ドライバー同士の衝突事故から暴力沙汰に発展し、それが思いがけない方向にひろがつていく。事件の当事者、巻き込まれた人物、目撃者、警察官。様々な人物が事件について考えながら更に過去の自分、出来事に思いをはせていき話が際限なく続いていく。その思い出話が思いがけなく繋がっていたり気が付いたら元に戻っていたり。邦題にはマトリョーシカが使われていますがどちらかというとドミノ倒しみたい。
最後の最後、電話の相手にはびっくりした。

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# by yamanochika | 2016-11-20 12:18 | 海外ミステリ

死神遊び

カミラ・レックバリ著 集英社文庫刊

エリカ&パトリックの事件簿第8弾

フィエルバッカのヴァール島で寄宿学校を営む家族が復活祭の昼餐を残したまま失踪した。1歳になる末娘エッバだけを残して。
事件は未解決のまま35年が経過し、大人になって結婚したエッバは幼い息子を事故で失い、傷付いた心を癒そうと島に戻ってくる。彼女が島に戻った途端に放火事件が発生。35年前の事件になにか関係あるのか。
かつて学校にいた寄宿生達との関連は。

不幸な母と娘の挿話を挟みつつ、過去の事件と現在起こりつつある事件を捜査するパトリック達。パトリック、エリカをはじめ中年になった寄宿生達、エッバとモッテンと大人数の視点が入り混じり複層的な展開になっている。その中でも印象に残るのは親子の関係と子供を亡くした夫婦の悲哀。
エッバとモッテン夫婦を筆頭に、ユスタは生後数日で我が子を亡くし、アンナは事故でお腹の子供を亡くしている。
色々な人たちの子供への哀切が伝わってきて辛い。それと、もう1つの視点が第二次大戦におけるスウエーデンが中立であったという欺瞞への批判。これは他の作家が書いたミステリでも出てきている事だけど、スウエーデンにはナチスシンパが多く存在し、国内ではユダヤ人への差別があった。この問題が現代の政治情勢とも絡まって作品に大きな影を落としている。
作品内の主題となっている訳では無いのですが、この作品の出版直前にノルウェーで起きた事件がまさに作品内で起きそうになった事件であり、今の北欧のリアルなんだなあと感じた。


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# by yamanochika | 2016-11-20 11:55 | 海外ミステリ

ゴーストライター

ロバート・ハリス著 講談社文庫刊。

華やかな外見で人気を博した元首相アダム・ラングの自伝のゴーストライターに選ばれた私。絶海の孤島にある別荘でラングへの聞き取り取材をすすめる内に前任者の事故死に疑惑を抱くようになるが…。

映画化もされた作品の原作小説。割合地味なサスペンス。舞台が孤島なので追い詰められて行く心理描写はなかなか。
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# by yamanochika | 2016-11-20 11:48 | 海外ミステリ

日々読んだ本の記録。他映画、漫画等の感想などあれこれ。感想はネタバレありです。ご注意下さい。
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