スティーブン・キング著。文藝春秋刊。

冒頭、深夜から就職支援センターに並ぶ失業者たちの行列から物語が始まる。夜明け近く、大勢の人の群れに霧の中を突然突っ込んできた化け物のようなメルセデス。なすすべも無く車の下敷きになる人々。

そして事件から数ヶ月後、退職した元刑事ホッジズの元に事件の犯人を名乗る男から手紙が届く。メルセデス事件はホッジズが最後に手掛けた事件であり、ホッジズは未解決の事件を解決しようと動き始めるのだか。

退職した元刑事と邪悪な天才犯罪者との対決を書いた作品。犯人は早い内から分かっているので、如何に犯人の意図を見抜き犯人に近づくか、犯人の次の犯行をどのやうに防ぐかが話のポイントになる。

ホッジズの老骨ぶりと、ホッジズに協力するようになるジェロームやホリーとのそれぞれの特技を生かした凸凹トリオも面白いけど、邪悪な犯人が間が抜けてる所があって、この間抜けなのに邪悪な所がキングの書く悪党らしくてすごくいい。
犯人との対決が深まる下巻は一気読みしてしまった。とにかく面白い。
あと2作の翻訳刊行が楽しみ。

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# by yamanochika | 2016-12-10 12:55 | 海外ミステリ

罪悪

フェルディナント・フォン・シーラッハ著。創元推理文庫刊

犯罪に続く短編集。オチがあるもの、苦いもの、様々な短編が収録されていますが一言で表せるような話は少ない。冒頭に収録されている「ふるさと祭り」はどこで起きてもおかしく無い事件。誰も救われない苦さとやるせなさが残る。

その他印象に残った話。
「鍵」ピカレスクノベルみたいな快感がある
「清算 」小さな町だからこそできるのか?法律が女性を救おうとする話

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# by yamanochika | 2016-11-20 12:30 | 海外ミステリ

ケイト・アトキンソン著。東京創元社刊

探偵ブロディの事件ファイル、その2
シリーズと言っても前作からの登場人物はブロディ本人と彼と付き合うようになったジュリアだけ。老婆の遺産を継いで探偵仕事をしなくてもよくなったブロディは念願のフランスで暮らしながら無為な生活を送っている。ジュリアが出演するエディンバラ国際フェスティバルを見るためにエディンバラを訪れたブロディは事件に巻き込まれ…。

ドライバー同士の衝突事故から暴力沙汰に発展し、それが思いがけない方向にひろがつていく。事件の当事者、巻き込まれた人物、目撃者、警察官。様々な人物が事件について考えながら更に過去の自分、出来事に思いをはせていき話が際限なく続いていく。その思い出話が思いがけなく繋がっていたり気が付いたら元に戻っていたり。邦題にはマトリョーシカが使われていますがどちらかというとドミノ倒しみたい。
最後の最後、電話の相手にはびっくりした。

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# by yamanochika | 2016-11-20 12:18 | 海外ミステリ

死神遊び

カミラ・レックバリ著 集英社文庫刊

エリカ&パトリックの事件簿第8弾

フィエルバッカのヴァール島で寄宿学校を営む家族が復活祭の昼餐を残したまま失踪した。1歳になる末娘エッバだけを残して。
事件は未解決のまま35年が経過し、大人になって結婚したエッバは幼い息子を事故で失い、傷付いた心を癒そうと島に戻ってくる。彼女が島に戻った途端に放火事件が発生。35年前の事件になにか関係あるのか。
かつて学校にいた寄宿生達との関連は。

不幸な母と娘の挿話を挟みつつ、過去の事件と現在起こりつつある事件を捜査するパトリック達。パトリック、エリカをはじめ中年になった寄宿生達、エッバとモッテンと大人数の視点が入り混じり複層的な展開になっている。その中でも印象に残るのは親子の関係と子供を亡くした夫婦の悲哀。
エッバとモッテン夫婦を筆頭に、ユスタは生後数日で我が子を亡くし、アンナは事故でお腹の子供を亡くしている。
色々な人たちの子供への哀切が伝わってきて辛い。それと、もう1つの視点が第二次大戦におけるスウエーデンが中立であったという欺瞞への批判。これは他の作家が書いたミステリでも出てきている事だけど、スウエーデンにはナチスシンパが多く存在し、国内ではユダヤ人への差別があった。この問題が現代の政治情勢とも絡まって作品に大きな影を落としている。
作品内の主題となっている訳では無いのですが、この作品の出版直前にノルウェーで起きた事件がまさに作品内で起きそうになった事件であり、今の北欧のリアルなんだなあと感じた。


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# by yamanochika | 2016-11-20 11:55 | 海外ミステリ

ゴーストライター

ロバート・ハリス著 講談社文庫刊。

華やかな外見で人気を博した元首相アダム・ラングの自伝のゴーストライターに選ばれた私。絶海の孤島にある別荘でラングへの聞き取り取材をすすめる内に前任者の事故死に疑惑を抱くようになるが…。

映画化もされた作品の原作小説。割合地味なサスペンス。舞台が孤島なので追い詰められて行く心理描写はなかなか。
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# by yamanochika | 2016-11-20 11:48 | 海外ミステリ

まるマシリーズのコミカライズ最終刊

アニメイトに行けたのが遅すぎてせっかくアスカも買ったのにSS貰えなかった…無念。

漫画の展開読んでると、小説では没にした設定を拾ってるのかなという感じ。サラレギーに年相応な部分が多いのが目新しく、次男はこの展開だったらなるほど敵対はしていなくても戻って来れないなあと納得。眞王陛下はなんだかんだ言っても王様らしくてカッコよかった!ただ最後がここで終わり⁈というところで終わっていたので、あともう少し、せめてユーリが眞魔国に帰るまでは見たかったです。
番外編も掲載されてるし、あと1冊位はコミックスも出るのかな。

何はともあれテマリ先生長い間お疲れ様でした。次はまるマの挿絵でまたお目にかかりたいです。後は小説の続きが出るだけですね。
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# by yamanochika | 2016-11-20 11:38 | まるマ

人形遣い

ライナー・レフラー著 創元推理文庫刊

事件分析官アーベル&クリストシリーズの1作目

ドイツでは現在事件分析官という刑事として事件捜査をしつつプロファイラーのような分析をする職が出来たそうでこの事件分析官を主役にしたミステリが多くでているんだけどこれもその一つ。事件分析官の職務自体がサイコサスペンスと相性が良いからか、作風もそういう作品が多い印象。

ケルンで続く猟奇殺人事件。被害者はいずれも体の一部が失われていたため解体屋事件と名付けられた。事件解決の為に有能だが変人で有名な事件分析官アーベルが呼ばれ、彼の補佐として若い女性事件分析官クリストと事件に挑んでいく。

サスペンスなので途中で犯人視点も入るがジェットコースターのように状況が二転三転すると言うよりは、堅実に進められていく展開。相棒2人の間柄な甘い雰囲気があるのが好き嫌いが分かれるか。
犯人探しが主題と言うよりは犯人との対決が主題になるのでサイコスリラーが好きならおすすめ。

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# by yamanochika | 2016-10-29 12:24

真実の10メートル手前

米澤穂信著。創元社刊。

短編集。真実の10メートル手前から、記者が出来ることは何か。そんな見方が出ている作品集。「さよなら妖精」に関わる人物が登場する短編が2つあるのでファンには嬉しいのでは。ほろ苦い作品が多いけど読み応えがあった。
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# by yamanochika | 2016-10-29 12:20

二人のウィリング

ヘレン・マクロイ著 ちくま文庫刊

自宅近くのタバコ屋でウィリング博士が見かけた男は、タクシーの運転手に「ウィリング博士」だと名乗って去っていった。驚いたウィリングが男の後を追うと、あるパーティ会場にたどり着く。その席上で殺人事件が…!被害者が残した「鳴く鳥はいなかった」という言葉の意味は何なのか。ウィリング博士は事件に挑むが…

薄ら寒く怖い話。シチュエーションは違っても現在のどこであってもおかしく無いと思える事件だからこの薄ら寒さがあるのだと思う。鳥が鳴かなくなった場所という設定は少しSFチックだけど、緑が溢れていて果物も豊富にあるのに鳥が鳴かないという絵面がもう怖い。
最後まで読んでからもう一度パーティの場面に立ち返ると怖さが倍増する。そんな話。


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# by yamanochika | 2016-10-29 12:08 | 海外ミステリ

ささやく真実

ヘレン・マクロイ著。創元推理文庫刊。

サプライズパーティを開く事で定評のある女性が、自白剤を使って真実を暴露させるパーティを開いた夜に殺害される。女性の遺体を発見したウァリング博士は調査協力を求められ捜査を開始するのだが。

細かい事実を拾って真実に辿り着いていくタイプのフーダニット。大きな驚きは無いけれどフーダニットとしてよく出来ている。
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# by yamanochika | 2016-10-29 12:02

日々読んだ本の記録。他映画、漫画等の感想などあれこれ。感想はネタバレありです。ご注意下さい。
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