真実の10メートル手前

米澤穂信著。創元社刊。

短編集。真実の10メートル手前から、記者が出来ることは何か。そんな見方が出ている作品集。「さよなら妖精」に関わる人物が登場する短編が2つあるのでファンには嬉しいのでは。ほろ苦い作品が多いけど読み応えがあった。
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# by yamanochika | 2016-10-29 12:20

二人のウィリング

ヘレン・マクロイ著 ちくま文庫刊

自宅近くのタバコ屋でウィリング博士が見かけた男は、タクシーの運転手に「ウィリング博士」だと名乗って去っていった。驚いたウィリングが男の後を追うと、あるパーティ会場にたどり着く。その席上で殺人事件が…!被害者が残した「鳴く鳥はいなかった」という言葉の意味は何なのか。ウィリング博士は事件に挑むが…

薄ら寒く怖い話。シチュエーションは違っても現在のどこであってもおかしく無いと思える事件だからこの薄ら寒さがあるのだと思う。鳥が鳴かなくなった場所という設定は少しSFチックだけど、緑が溢れていて果物も豊富にあるのに鳥が鳴かないという絵面がもう怖い。
最後まで読んでからもう一度パーティの場面に立ち返ると怖さが倍増する。そんな話。


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# by yamanochika | 2016-10-29 12:08 | 海外ミステリ

ささやく真実

ヘレン・マクロイ著。創元推理文庫刊。

サプライズパーティを開く事で定評のある女性が、自白剤を使って真実を暴露させるパーティを開いた夜に殺害される。女性の遺体を発見したウァリング博士は調査協力を求められ捜査を開始するのだが。

細かい事実を拾って真実に辿り着いていくタイプのフーダニット。大きな驚きは無いけれどフーダニットとしてよく出来ている。
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# by yamanochika | 2016-10-29 12:02

生ける死者に眠りを

フィリップ・マクドナルド著 論創社刊

嵐の夜に山荘で起きた一夜の出来事を書いたミステリ。戦争中に起きた事件の関係者から脅迫を受けている女性に呼び出され事件に関係のある軍人2人がやってくる所から物語がはじまる。

日にちと時間帯が書かれた章題によってドキュメンタリー風味があり、手に汗握る展開…になったのかもしれませんが、いかんせんとても読みにくい。翻訳の問題なのかどこで誰が何をしているかが分かりにくく、軍人の一人が連れてきた運転手が何やらやらかしたらしいのに、何をしたのかが文章読んでも伝わってこない。後の状況からこうだったのかなと言うのは類推できるんですが。
作品の筋を追うのが精一杯で肝心の脅迫の元になった事件の悲劇性もあまり伝わってこない。

残念です。
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# by yamanochika | 2016-10-29 11:49 | 海外ミステリ

月の暗い夜に

アンドレアス・グルーバー著 創元推理文庫刊。

母が誘拐され殺害され、離婚した父親が容疑者として拘留された。ミュンヘン市警捜査官ザビーネは父の容疑を晴らすため腕利きの変人犯罪分析官とともに犯人を追う。

中年の有能だが変人としか言いようがない犯罪分析官スナイデルと若く生きのいい捜査官ザビーネのコンビで送るミステリ。

変人に振り回されながらも、2人が相棒になっていく過程は読んでいて楽しい。
捜査が進むうちに犯人は童謡を元に各地で見立て殺人をしている事がわかる。誰が何の目的でこんな事をしているのか。
合間に挟まれる挿話で、この話の主題がサイコキラーによる殺人や、犯人当てではない事が分かる。
犯人の動機、そして最後にザビーネの結論と、作者の書きたい事が明確でわかりやすいがゆえに胸にストンと落ちてくる。犯人当てでは無いけれどサスペンスとしてはなかなかの出来栄え。
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# by yamanochika | 2016-07-30 19:06 | 海外ミステリ

煙に消えた男

P・ヴァールー、M・シューヴァル著
角川文庫刊

角川文庫からのマルティン・ベックシリーズ新訳復刊。
シリーズとしては2冊目にあたる本です。
1960年代に書かれている為にまだ冷戦下にあるという時代背景がキモとなる作品。
ハンガリーのブタペストで消息を絶ったジャーナリストを探すため、鉄のカーテンの向こうを訪れるマルティン。ここで書かれるブタペストの日常風景が素晴らしい。ストーリーは短くまとまっていて謎のまとめかた、解き方が上手い。物語の3分の2位の箇所でもしやこういう事なのでは?という事件の真相が読者に浮かんで来るように作られている所が絶妙だと思う。
今ではこういう警察小説、刑事たちの群像劇は多く書かれているけれど、この群像劇である所も見所の一つ。60年代スウェーデンの時代性も楽しめる。
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# by yamanochika | 2016-07-23 14:12 | 海外ミステリ

女刑事の死

ロス・トーマス著 ハヤカワミステリアスプレス文庫刊。

冒頭はある刑事の朝の風景から始まる。いつも通りの日課をこなした彼女が車に乗り込みエンジンをかけた途端に車が爆発。
ワシントンで上院の調査監視分科委員会で顧問として勤務している兄は、妹の死の連絡を受け、葬儀と妹の死の真相を知るために故郷に帰るのだが…。

ストーリーとしては巻き込まれ型。兄が積極的に探偵役を務めるのかと思いきや、最初は瑣末な仕事と思われた本業の方が、話の中で大きなウェイトを占めていく。
主筋として話を引っ張るのも、主人公のベンがこだわっているのもあくまで妹の死の真相なんですが、ベンの仕事上の調査は複雑さを増し、誰が味方で誰が敵か分からない駆け引きが続き、膨らんでいったあと本筋に綺麗に絡んでいく。最後の後味の苦さまで見事な出来栄え。

ベンと幼馴染で一番の友人である調査対象のジャックとの関係性が面白い。ベンのジャック評が読者視点からみても的を射てる感じ。悪党なんだけど憎みきれない。2人の小中学生の頃の思い出が何度も語られるのも、最後まで読むと納得できます。


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# by yamanochika | 2016-07-09 10:21

パーシヴァル・ワイルド著。原書房刊。

田舎の少し辺鄙な場所にあるホテルで、顧客掘り起こしの為にミステリーツアーが企画される。旅行客は駅でどこに行くか分からないツアーの切符を買ってホテルに着き、週末はウィンタースポーツを楽しむというツアーは大当たりした。しかし4回目の今回はウィンタースポーツをやる為に来たとは思えない客が混じっており、やがて殺人事件が…!

表題作のミステリ・ウィークエンドは少し短めの長編。事件とその顛末。4人の人物の視点から描かれており、視点の人物が変わるにつれ事件の違う様相が見えてくる。
当然種明かしは最終章にされるのですが、真相が分かってから各視点を見直すと新たな発見があり、また違う楽しみ方も出来る。
表題作のほかに3編の短編を収録。


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# by yamanochika | 2016-07-08 10:36 | 海外ミステリ

黄昏にマックの店で

ロス・トーマス著 ハヤカワミステリアスプレス文庫

再読。一番最初に読んだ作目がこれでした。懐かしい。

タイトル通り本作の主役はマックとパディロではなく、別の若者で彼を黄昏に差し掛かったマック達が見守っている感じ。
存在するかどうか分からない回想録を巡っての虚々実々のやり取りが描かれている先が読めないストーリーで、最後まで一気に読める。何よりひねてるキャラクター達のやり取りがいい。何度読んでも面白い。
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# by yamanochika | 2016-07-08 10:28 | 海外ミステリ

クラシックな殺し屋たち

ロス・トーマス著 立風書房刊

冷戦交換ゲーム、暗殺者のジャムセッションを読み返していて3作目がある事を知り図書館で借りてきた。こういう絶版になってる本も読めるのはありがたい。

3作目は前作から2、3年後、かつての仕事仲間との関わりから中東の小国の王族を護衛することになったパディロが、新進気鋭の暗殺者と対決するといった内容。

クラシックな昔気質の殺し屋達と、新しい種類の殺し屋との対決が主軸になるが、アクションよりも一捻りされた頭脳戦が見どころ。シリーズ作品の中ではあっさり目で捻り感は薄い。会話劇ややり取りの味わいを楽しむ作目。
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# by yamanochika | 2016-07-08 10:17 | 海外ミステリ

日々読んだ本の記録。他映画、漫画等の感想などあれこれ。感想はネタバレありです。ご注意下さい。
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