ジョゼフ・ディレイニー著 東京創元社刊
この夏、ペンドルの魔女たちによって魔王がこの世界に召喚されてしまった。魔女たちの支配をのがれた魔王はこの地方のどこかに去ったが依然として魔王に殺害される危険は消えていない。更に戦争が長引き強制徴募隊に連れて行かれそうになったトムを心配し、師匠は北方にすむ魔使いビル・アークライトの下にトムを送り出すが…。
初めて師匠以外の魔使いの下で修業を積むことになったトム。アークライトとの相性がいいとはいえませんが、アークライトとの修行でのトムの感想がなるほど成長したなーという感じ。師匠は出番が少ないとはいえやはり経験と年季が違うっていう行動に感心した。今回は水辺の地方ってことで出てくる魔物も水のものが多いんだけど、今まで出てきた魔女集団の中でも一番陰気だ。人間らしさが全くなくて、まさしく魔物を相手にしている感じ。こっちまで骨が痛みそうなじめじめ感がたまらなく怖い。肉体を得た闇、とか言われている魔王さまの方がよっぽど人間的な個性を感じた位。しかし闇の門をくぐってこの世に召喚されたはずなのに、今までも色々な魔女と子供を作っているって一体どうやって?てのがちょっと疑問です。短時間なら大丈夫ってこと?
過ちといえば出てきた魔使いが皆それぞれ少しずつ過ちをおかしているような。しかしアリスが切ない。ペンドルの魔女といえばマブはアリスとは交わらなそうなんだけどどうなんだろう。