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ケンブリッジ大学の殺人

グリン・ダニエル著 扶桑社ミステリ刊

1945年に書かれたケンブリッジ大学を舞台にしたミステリ。オックスフォード出身者やオックスフォード大学教授による小説はミステリに限らず山ほどあるけど、ケンブリッジ大学教授による小説は初めてみたので珍しくて手にとってみました。作中で、「より古く美しい大学」とケンブリッジを褒め称えているのはご愛敬。(実際にはケンブリッジがオックスフォードから派生した大学なんだそうですが)

夏季休暇の直前、ケンブリッジ大学のフィッシャー・カレッジ内で夜間の門衛が殺害される。副学寮長のサー・リチャードは持ち前のミステリ好きとカレッジへの愛情の両方から独自に調査に乗り出すが、やがて帰省した学生のトランクから第二の死体が…!

放っておけばいいのに自ら首を突っ込み容疑者扱いされるサー・リチャードをはじめ、大学らしい変人達と、警察による推理合戦が繰り広げられる。サー・リチャードが、次いで警察がそれぞれ自分の推理を披露しあうのでどんな話が展開しているのかやや混乱するものの、学生たちや教授たちの会話はとぼけた味があって面白い。ただミステリとしては伏線というか、手がかりが少なすぎるんではないかという印象。

犯人像が具体的に浮かんでくる中盤以降は、どうやって犯人に辿り着くかという面白さが出てくるんだけど、そうなるとこれまでは何だったの?って気もするんだよねえ。もうちょっと序盤から犯人に結び付くような情報を入れておいてほしかった。
by yamanochika | 2010-05-21 02:21 | 海外ミステリ
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