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西巷説百物語

京極夏彦著 角川書店刊

今回の趣向は、仕掛けを受けた人たちの視点から怪異談が語られ、最後に種明かしがされるというもので、更にこれまでわき役として時たま登場していた西の方の人たちがメイン。この2つが重なって第1話を読んだ後の後味が悪く、発売日に購入したのに第1話と最終話だけ読んでついつい寝かせてしまってました。結論としては第1話が一番読みにくくて、その他の話は案外読みやすかったです。

一番引きこまれたのは夜楽屋。芸にまつわる業の話で、人間が人形を操っているのか、人形に操られているのか。最後まで読んでも怪しい雰囲気があって、そこが業の深さといえるのかなあと。豆狸にはほんわか。人が救われる話は読んでいて気持ちがいい。これまでの百物語が、その背後に潜む大きな陰謀の存在が見え隠れしながら進んでいたのに対し、今回は番外編の短編集といった印象は最後まで変わらず。そろそろ本筋がどう動くかも読みたい。
by yamanochika | 2010-11-23 01:21 | 国内作家
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