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上手に人を殺すには



マーガレット・デュマス著 創元推理文庫刊

新居に落ち着き、新婚の旦那様ジャックとの甘い生活を満喫するつもりだったチャーリー。しかしジャックの作ったコンピューター・セキュリティ会社の取引先のCEOから婚約者が亡くなった件を調べて欲しいとい依頼が入り、出鼻を挫かれる。警察は事故死扱いしたが、納得できないというのだ。婚約者が親友ブレンダの同級生だったこともあり、友人たちと調査に乗り出すチャーリーだったが…。

小国の財政を賄えるほどの財産を持つお金持ち、セレブなチャーリーと夫ジャック、その仲間たちによるシリーズ第2弾。

セレブな奥様という設定が引っかかってスルーしてたんだけど、明るい話が読みたくて手に取ってみました。キャラクターが立っていて、彼らの会話が小気味いい。特にチャーリーと友人たちのやりとりはものすごく面白い。過保護で迷惑なんだけど憎めない叔父ハリーもいい味出してるし、爽やかないい男のジャックが実はかなり胡散臭い人物(一体どれだけの過去を隠しているのか)というのも、面白みを足してます。本人の自称経歴は海軍の気象官なんだかけど、実際はどうも諜報関係の仕事をしていたっぽく、今も本当は切れてなさそうなんだけど。視線がレーザービームのヤハタ警部も謎の人ですよね。いやーアメリカの1時間ドラマ好きには溜まらないバランス感覚でした。

キャラクターもいいけど、ストーリーの方も結構きっちりしていて面白い。作家さんの本業はIT会社の重役なんだそうで、会社内部の描写がかなりリアル。ちょっと身につまされる部分もありますが、何故犯人がその人しかあり得ないのか、というのが知識によって裏付けされているので、その辺IT関係に詳しい人ならより楽しめそう。

本国でも2作目以降はまだ出版されていないそうで、続刊が待ち遠しいところです。既に3年位経っているそうなんですが、兼業作家なだけに難しいのかなあ。
by yamanochika | 2011-05-10 00:55 | 海外ミステリ
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