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緑の使者の伝説 上・下



クリステン・ブリテン著 ハヤカワ文庫刊

貴族の息子との争いから学校を停学になって寄宿学校を飛び出した少女カリガンは、背中に矢を受けて瀕死の男と森で出会い、王への密書を届ける任務を引き継ぐ。男は緑の制服を身にまとい、王家のために伝令の任にあたる緑の使者だった。男を狙った何者かに狙われながらカリガンはサコリディア国に迫る脅威から国を救うために使者の馬を駆るのだが…

ヒロイック・ファンタジーという煽りがついてますが、どちらかというとヤングアダルト向けなジュヴナイルっぽい印象。ペガサスのブローチに呼ばれた才能がある人が使者になる、という設定は何となくヴァルデマール年代記を思わせますが、話の雰囲気、女性キャラの活躍具合もそんな感じ。

カリガンが敵に追われて何度か命を脅かされながら逃げている旅は面白かったんだけど、王都についてからがいまいち。王権を支えているものが何か、とか王と民衆の関わりが見えない。王城では戦争してるのに、王都の民衆には被害がないっていうのが何だか不思議で。

あと、国が今現在荒れまくっているのでもなければ経済的基盤のある支持層がいないと、民権化運動自体厳しいと思うんだけどなあ。貴族や商人を取り込んでこそ現実的なのでは。カリガンの言動からすると年齢設定はローティーン立った方が良かったかも。まあそうすると、男二人がいきなりカリガンに惚れてしまうのが、ロリコンかよ!って話になってしまうのかもしれませんが。

何となくアラをつついてしまいましたが、文章自体は読みやすく、話はまとまってたと思います。辺境の森に住んでいるベリー姉妹の描写や、カリガンの相棒となる馬ホースは言葉がしゃべれないのに人間以上にキャラが立っていて良かった。
by yamanochika | 2012-09-10 00:06 | SF・FT
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