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闇のしもべ 上・下



イモジェン・ロバートスン著 創元推理文庫刊

1780年、ウェスト・サセックスに住む解剖学者クラウザーは隣家の提督夫人ハリエットの訪問を受ける。自分の地所で喉を切られた男の遺体を発見したという彼女の話に釣られて被害者の遺体検分を了承するクラウザー。身元不明の被害者は地域の有力者ソーンリー卿の紋章の入った指輪を持っていた。ソーンリー家の行方不明になっている継嗣と何か関係があるのか?

18世紀のイングランドを舞台に、解剖学者クラウザーと才気煥発な提督夫人ハリエットが事件の解決に挑むシリーズ第1弾。

歴史小説が好きかつミステリ好きなので、歴史ミステリにはついつい触手が伸びるんだけどこれは面白かった。1870年という時代背景を生かしてアメリカ独立戦争、ロンドンで起きたカトリック排斥の大暴動などなどその時代に起きた出来ごとがうまく話の中に組み込まれていて、歴史小説として十分に楽しめる。

ミステリとしては、まだ証拠物件の捜査さえ満足にされていない時代を解剖学者を主人公に据えることで上手くこなしている感じ。自立心に富んだハリエットはもちろん、物腰が柔らかく女性的なハリエットの妹が意外に心が強くて、時にはハリエットすら敵わないほど鋭い分析をしているのが面白い。このハリエットの旦那さんがどんな人なのかが気になります。
by yamanochika | 2012-10-07 16:54 | 海外ミステリ
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