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冬のフロスト 上・下



R・D・ウィングフィールド著 創元推理文庫刊

6月末発売って予告が出てたけど、どうせまた延期されるでしょ!って舐めてました。すみません。本当に6月末に発売されてた…!というフロスト警部シリーズ5作目。

前作からほぼ時間経過なしの続編。慢性的な人手不足に加え、マレット署長の安請け合いのせいで他の所への応援で人出が割かれたデントン署。幼い少女が行方不明になり、売春婦が残虐な方法で殺害される事件が連続殺人化し、ショットガン強盗やフーリガンの一団、枕カバー強盗まで現れまさにてんてこ舞い。おまけにどこから見ても間抜けとしかいいようがない部下を押しつけられフロスト警部は眠る間もないほど駆けずり回るはめに…。

フロスト警部を読んでいる時に連想するのは、雨、冷たい空気、濡れぼそった靴下。大体いつも寒くてじめっとした場所で奮闘している気がします。事務能力がなく、空気をよまないギャグを飛ばす、下品な親父だけどフロストが憎めないのは、人情味があって、間抜けな部下でも結局庇ってしまう。そんな人物だから。今回は並行しておきる事件にそれほど関連性はなく、時には思いがけないほど早く事件が解決することも。

それでも矢継ぎ早におきる問題に手に汗握る展開は相変わらず。最後の1ピースがぴったりはまったラストには爽快感が残る。既に作家さんが死亡されているので、残された作品はあと1作。続きを読むのが待ち遠しいけど、いつまでもとって楽しみにのこしておきたいような、複雑な心境です。とりあえず今積んでいる本が読み終わったら1作目から読み返したい。
by yamanochika | 2013-08-08 00:07 | 海外ミステリ
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