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夜歩く

ジョン・ディクスン・カー著 創元推理文庫刊

デビュー作の新訳版。パリの予審判事アンリ・バンコランはサリニー公爵の依頼を受け、彼と彼の新妻を狙う人物から守る為にナイトクラブを訪れる。しかし公爵が入った後バンコランと刑事が出入り口を見張っていたカード室の中で、公爵は首を切り落とされた状態で発見される…!

豪華絢爛なパリを舞台にしたデビュー作の新訳版。今まで手に取ったことが無かったので新訳を期に読んでみました。パリを舞台にした初期作品では探偵役を務めるバンコラン自身がメフィストフェレスのような雰囲気の人物で、最後まで怪しい雰囲気に包まれたまま。登場人物の行動や心理を含め、結構生々しいのに驚いた。人狼ではないけれど、人の皮を被った狼のような人々がいて、人間の中を闊歩している。狼に噛まれた者もまた、狼になっていく。そんな感じの作品です。推理物としては合理的な説明がされていて、作り方の上手さはさすがと感じるんですが、割と分かりやすいのでパズルとしては若干物足りない。ただ、心理描写は見事。
by yamanochika | 2014-01-20 00:02 | 海外ミステリ
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