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ゴースト・ヒーロー



S・J・ローザン著 創元推理文庫刊

天安門事件に巻き込まれて死んだ中国人画家の「新作」があるという噂の真偽を確かめて欲しい、という依頼を受けたリディア。畑違いの依頼に疑問を抱いたリディアは相棒のビルと、ビルの友人で美術品専門の探偵ジャックを訪ねるが、彼もまた別の依頼人から同じような依頼を受けていた…

私立探偵のビル・スミスとリディア・チンが交互に主人公を務めるシリーズの、今回はリディアの話。天安門事件をはじめとする政治問題と中国当局の関わり方、現代アートの問題など色々な話を絡めつつ、割合明るめなトーンで話が進んでいく。話の本筋となるのは大掛かりなコンゲームで、頭脳戦が主筋を占めているのと美術品専門探偵のジャックが軽妙なトークが得意なキャラだからでしょうか。若い中国系の男性であるジャックはリディアの母からするとビルとは比べ物にならない好物件で、今後も登場するのかが気になるところ。

全てがあって欲しい所に納まって、更にその底に思いがけないものが詰まっている。感動があって読後感が清々しい。気持ちのいいお話。
by yamanochika | 2014-09-21 02:04 | 海外ミステリ
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