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悲しみのイレーヌ

悲しみのイレーヌ
ピエール・ルメートル著 文春文庫刊

最初に「その女、アレックス」を読んでいて何が起きたのかを知っていたので読んだ後の衝撃は薄かったものの、第1部と第2部での視点の切り替わり、見え方がガラッと変わる驚きは味わえた。
事件の被害者が多く、アレックスに比べても陰惨な描写が多いので読む人を選ぶ内容であるとは思う。カミーユは、自分の短躯の原因になっている母親に愛蔵半ばする思いを抱いており、妻であるイレーヌには母親に寄せるような思慕を向けている。ある意味イレーヌはカミーユに取って愛する部分しか無い母であり、作中で重要人物でありながら彼女本人の印象は薄い。
何というか、アイコンのような存在なんですね。もっとキャラクターがつくりこまれていたら、最後の出来事にもっと衝撃を受けていたかもしれない。

by yamanochika | 2018-01-06 19:11 | 海外ミステリ
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