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誇り高き王妃・ジョコンダ夫人の肖像

E・L・カニグズバーグ著。岩波書店刊。

カニズグバーグ作品集4。

とりあえずカニズグバーグの作品で読んだことがないものを借りてみようと思ったら歴史物2作になりました。
「誇り高き王妃」はアキテーヌのエレアノールの人生を天国で夫ヘンリー2世の昇天審査を待つ間に彼女を知る3人の人物、シュジェール大修道院長、マティルダ皇后、ウィリアム最高軍事顧問が振り返り、人生の最後をエレアノール自身が語るという形式。

アキテーヌのエレアノールといえば、波瀾万丈の人生を送った歴史上の人物ですが、83歳まで生きてたとは思いませんでした。自由奔放に自分の人生を送った情熱的な女性ってのが彼女のイメージなんだけど、その魅力を良いところも悪いところもきちんと書かれているように思います。女帝モードがエレアノールの姑!というのに二度びっくり。家系図みればその通りなんだけどさ。個性の強い女二人に囲まれても色あせなかったヘンリー2世も結構すごいな。

「ジョコンダ夫人の肖像」
レオナルド・ダ・ヴィンチが「モナリザ」の肖像画を描くまでのエピソードを彼に実際に仕えていた徒弟のサライの視点で書いた小説。手記の中で泥棒で嘘つき、大食らいと罵られながら、レオナルドの遺書で財産を残されているサライ。なぜレオナルドはサライを愛したのか。ということをミラノ公夫人ベアトリチェとサライとの交流を通して描いてます。

どちらかというとベアトリチェの魅力が書かれているのかな。サライを通して、扱いが面倒なレオナルドという天才と、その天才がどうすれば才能が発揮出来るかを見抜いていたベアトリチェ、ベアトリチェによってレオナルドへの責任を持つようになったサライという3人の関係が絶妙に書かれているのですが、最初に「何でサライを重用したか」が出てきた時に、そりゃあ金髪巻き毛の美青年だったからじゃないの?と素で思ってました。今も残ってるサライを描いたスケッチがギリシャ彫刻そのままのような美青年なんですよ。
by yamanochika | 2006-05-15 01:57 | 児童文学
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