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海の上のオベリスト

C・デイリー・キング著 原書房刊。

「オベリスト」というのは疑問を抱く人、という意味の作者による造語。殺人事件に疑問を抱き、捜査を進める登場人物達を指しているようだ。本書はその「オベリスト三部作」の第一作にあたる。

北大西洋の海を行く豪華客船「メガノート」号。連日行われるオークションの席上で白熱した勝負の途中に、突如停電が発生した。暗闇の中で銃声が鳴り響き、電気がつくと、先程オークションを競っていた実業家スミスが銃で撃たれて死んでいたのだ。当初は簡単な事件に思われたが、捜査を進める内に、思わぬ事が判明する。なんとスミスは撃たれる前に、毒によって絶命していた…!誰が何の目的でスミスを殺害したのか。行き詰まった船長は、乗客の4人の心理学博士に相談をもちかけるのだが。

という船上での怪事件を捜査する、黄金時代幕開けの頃にふさわしい作品。エピローグの後索引がついていて、作者がどこで、どのように、何を仕掛けたか。が分かるようになっている。その辺りがパズル要素が高くて、気楽に楽しめる。3人の博士と教授によるそれぞれの心理学を用いた推理が見物。
by yamanochika | 2006-06-04 01:25 | 海外ミステリ
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