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氷と炎の歌3 剣嵐の大地 上・中・下

J・R・R・マーティン著。早川書房刊。

氷と炎の歌第三部。七王国の玉座を巡る争いはいよいよ激化。ラニスター家の勝利は確実なものと思えたが、様々な人の思惑により、思わぬ方向に運命は展開していく。一方、ウィンターフェルはボルトン家により壊滅したが、北部では野生人達の大決起が始まろうとしており、更には壁の向こうでは何百年も無かった異形人による襲撃が行われる。長く辛い冬の始まりだが、壁を守る「夜警団」の他には、異形人の復活をまともに取るものはいなかった。一方、海の向こうではデーナリスが、ドラゴンと共に、自らの王国を作ろうとしていた…。

もう、タイトル通り、人が死にまくり、破壊されまくりの話でした。名前のある人も、無い人達も。原題の直訳の方が、意味が通りやすかったんじゃないかな。やーでも面白いです。面白すぎて読み始めたら止まらないえぐいけど。

一番最後がアレだったのでもう今はケイトリンの事で頭がいっぱい。ロブやジョフリーの運命は知っていたんだけど、ケイトリンがある意味一番すごかった。やっと、ケイトリンは生きているのか死んでいるのか、という感想の意味が分かりましたよ。ううーん、一応生きている、というのが私見ですが、美人の誉れが高い人だっただけに惨い感じがひしひし。

詳しい感想はこの下に。





ロブが、自分の下半身(笑)と恋愛感情によって身を滅ぼすんだけど、本人は自業自得とはいえ、スターク家の滅亡には涙が。第一部の最初はスターク家から始まったから、あの犬狼達の運命がそのまま「冬」から身を守れるかという事に直結しているように思えるのね。結局ロブは一度も視点キャラクターにならず終いでしたが、それにしても死後に加えられた暴力がまた惨い。第一部を読んでいた時にはラニスター家が嫌いだったんだけど、今はフリン家とボルトンが一番嫌い。出来るだけ早く滅亡して欲しいと思えるのはこの両家くらいだ。ウィンターフェルを単なる領地と思って支配下に治めたけど、その内異形人達がやってきたらどうなるんだろう。ゾンビー軍団対(中身が)怪物な人間達。しかし死んだら異形人になれることは保証付き。…嫌だなあ。

ジェイム・ラニスターは、視点人物になったら好きになるって聞いてましたが確かに。だってこいつ馬鹿なんだもん。自分が頭が悪いと認めているし、何だかんだ言って人が好いというか、高潔な騎士の部分が残っていて捨て切れてないし、弟の事も愛しているらしいし、サーセイとやることしか考えてないし(笑)。ジョフリーの陰謀について弟の方から指摘されてどぎまぎしているのが何とも。ブリエンヌを救いに戻るエピソードを読むと、例え好きにはならなくても嫌いになれなくなる。父親があんな事になってどうするんだろう。サーセイとも決別路線を行くのでしょうか。いっそブリエンヌとくっついてくれ。

デーナリスはほぼ七王国から独立した章になるんだけど、思いがけない登場人物が側に登場。これで少しは七王国に戻る足がかりになるのかな。ドラゴンを復活させ、赤い彗星を自らの星と呼ぶ彼女はルラーの女司祭がスタンニスを評した約束されたプリンスの条件を満たしていると思うんだけど、そうするといつかは壁まできて、異形人と戦うんだろうか。サー・ジョラーは彼女の所に一度戻ってきて、又裏切るのではないかと思ってます。


その他のキャラ

・リトル・フィンガーがかなりのキーマンで驚いた。ケイトリンがあんな状態である以上、サンサの貞操が心配です。

・アリア。ハウンドが嫌いになれなくなってきて、あのまま死なれてしまうのは寂しい。つかアリアはこれから一体どこへ?一番狼娘にふさわしくなってきたよ。。。ヴァリリアに行くならデーナリスと会うのかな。

・ブラン・サム・ジョン。まとめて表記。サムの出世魚っぷりにびっくり。第三部の最初と最後でここまできちんと成長ぶりが書かれているのは彼くらい?ジョンとブランの紙一重のすれ違い(ブラン的には会っているんだけど)にぞくぞく。ブランが次に登場する時は、空を飛べるようになっているんだろうか。今んとこ、ジョン達の行動は七王国の中心とは関係ないけれど、早くこれが一つになる所が見たい。

・ダヴォス。もーこのおっさん大好きなので、死なないで欲しい。本当の意味でいい男だ。このおっさんの存在がスタンニスを支えているんだとも思う。目的はどうあれ、スタンニス達が来なければ夜警団は滅亡していたんだし。


登場人物への感想はこれ位。七王国の争いを後目に北部では異形人の復活が始まっていて、相争っている内に食われてしまったらどうするだろうと心配。政治を巡る陰謀と、魔法の部分がほどよくミックスしていっていて、これからがすごく気になります。

後、どうでもいいちゃあどうでもいいんだけど、この世界は夏と冬の二つしか気候が無くて、それぞれ何年かずつ夏と冬がやってきているんだけど、七王国以外の場所での季節の影響はどうなんだろう。北部の壁に相当するものは他の世界にもあるんだろうか。なんとなくドラゴ達がいる草原と、北部の壁とが同一の世界として結びつけて考えられない。
by yamanochika | 2007-05-13 11:40 | SF・FT
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