サラ・パレッキー著。早川書房刊。
V・I・ウォーショースキーシリーズの最新作。 ヴィクが両親と従兄を亡くし、二度と帰らないと誓った故郷、サウス・シカゴ。しかし、恩師である高校時代のバスケットチーム・コーチが癌を患い、死を覚悟しつつ治療を受けていると知り、彼女の頼みを引き受け母校のバスケットチームのコーチをボランティアとして引き受けることになる。高校時代よりも更に荒れたサウス・シカゴの街では、バスケットの奨学金を手にし、大学へ進学することは貧困の連鎖から抜けるパスポートになる。 バスケットチームへのスポンサー企業を探しつつ、コーチしている生徒の頼みを断り切れず、彼女の母親の依頼を受け、縫製工場への嫌がらせ事件を調べるヴィク。嫌がらせは次第に発展し、ついには爆発事故が。どうやら地元出身の大立て者が経営する巨大ディスカウント・ストアが何か絡んでいるらしいのだが…。 大物や、自分の都合を押しつけてこようとする相手には強いのに、人から頼み込まれると断り切れないのが、V.Iのいいところ。今回は、二度と帰らないと誓った荒れ果てた故郷サウス・シカゴを舞台に、地元の為に活躍するV.Iの姿が描かれる。といっても作品中でもあるように、ディズニー映画の世界とは違うから、個人の努力で変えられることはわずかだけど。 根底にながれているメッセージが前向きで、出てきている人々も、色々あっても最後は頑張ろうとしている人達なので、読後感は爽やか。何より、一時期と比べてもV.Iが元気に活躍しているので、見ているこっちもパワーがもらえそう。それにしても、あれだけ怪我をしていたら、動き回るよりも前にもっと休息とりなさいよと言いたくなるけれど。
by yamanochika
| 2007-05-28 02:41
| 海外ミステリ
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