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幼き子らよ、我がもとへ 上・下

ピーター・トレメイン著。創元推理文庫刊。

7世紀のアイルランドを舞台に、法律家であるフィデルマ修道女が活躍するシリーズ。日本での刊行順では2冊目ですが、実際は前回出た話よりも前のお話になります。

フィデルマは王の後継者である兄に呼ばれ、高名な他国の学者が調査で滞在していた修道院で殺害された件で、誰が殺人を犯したかの調査を依頼されます。学者の殺人の名誉の代償として長年両国の間で紛争の基となっているある小王国の宗主権が要求されており、もしもその代償を払うとしたら本格的な戦争になることは必須。事件が起きてから既に2週間以上が経過し、当時の状況を伺うことは困難。そんな中、フィデルマは修道院に向かい、死んだ学者に対する思わぬ評判を聞くことになる…。

今回の見所は、7世紀のアイルランド国内の状況と、終盤のブレホン法に基づく裁判の様子。小さな証拠の一つ一つを積み重ね、真実に至るフィデルマの論理的な弁護の積み重ねが圧倒的。裁判の様子としては、現代の法廷劇とそれほど変わりないかも。
by yamanochika | 2007-10-22 00:40 | 海外ミステリ
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