スティーブン・キングの短編集
ホラーから一般小説、詩まで幅広いジャンルを集めた短編集。 普通小説の収録が多いからか読後にもやっしたものが残る作品が多い。 その中では少しの不思議が混ぜられた「ミスターヤミー」が読後感がよくお気に入り。 怖い車を描いた「マイル81」は昔ながらのホラー短編にジュブナイル風味を加算した感じの佳作。 「酔いどれ花火」hs映像化が検討されているそうですが、確かに画面が派手で面白そう。これのオチはライバルと組んでの 保険金詐欺を証拠不十分で見逃してもらったということなのかな。 語り手のとぼけた語り口といかにも推しの強そうなおばあさんが良い味出してる。
#
by yamanochika
| 2021-01-10 12:03
| SF・FT
ローリー・レーダー=デイ著 ハヤカワミステリ刊
夫を亡くしたあと睡眠障害を抱えたイーデンは、結婚記念日に夫が生前に予約していたスカイパーク保護区のコテージを訪れる。しかし一人静かに過ごせると思ったコテージでは予約の手違いで他のグループと同宿になってしまった。さらにその夜彼らの一人が殺害され一行は疑心暗鬼に陥るが。 イーデン視点で綴られる物語で、当初はグループと無関係のイーデンを探偵約役とした古典的なフーダニットのように進んでいくが、イーデンの亡くなった夫の詳細がわかるにつれ物語の様相が変わっていく。 フーダニットであることは変わらないけれどイーデンの、また彼女以外の愛する人を失い、愛する人にズタズタにされた人のサバイバルの物語であり、心から愛する人を突然失ったあとどのようにそれを乗り越えていくのかの方に話の主軸は移っていく。失う事に耐えられず飲み込まれていく人もいれば、着地して立ち上がろうとする人もいる。 思えば物語の最初からイーデンの夫については不穏な描写が多かったけれど、物語の終盤に更に今までの作品の見方が一変する描写があり、この視点の変化が作品の堪らない味になっている。 #
by yamanochika
| 2020-12-06 11:03
| 海外ミステリ
メアリ・スチュアート著 論創社刊
スウェーデンに出張中のはずの夫がニュース映画でイタリアに居るところを映されていた。ヴァネッサは母の友人の息子をイタリアへ送り届ける頼みを口実にイタリアへ向かうが。 元獣医の若妻ヴァネッサと夫ルイスの謎を巡るロマンチックミステリー。作中でヴァネッサの相棒になるのは母親友人の息子である高校生ティモシーでこの2人の姉弟のようなやり取りが楽しい。 最初の内は何が謎なのか分からないので、ヴァネッサとティモシーの会話やイタリアの風景描写を楽しむ感じ。B級王道という内容で楽しめた。映像で見たらより楽しそう。
#
by yamanochika
| 2020-12-06 10:46
| 海外ミステリ
マージェリー・アリンガム著
創元社推理文庫刊 ノンシリーズのデビュー作 最初に主人公ポジションいるキャラが有名警部の息子で父親を事件に招いたり、女性観などが古臭い感じで後の作品に比べると若書きの印象が強い。 冒頭の若い女性との出会いが印象的だったのでそこが余り生きて来ない展開だったのが残念。 ミステリーとしては最初の方から伏線がきちんと張られてて最後に回収されておりそれなりに楽しめた。
#
by yamanochika
| 2020-12-06 10:37
| 海外ミステリ
殴り合う貴族たち
繁田信一著 文春学藝ライブラリー 主に藤原実資の小右記の記述をもとに、藤原道長の時代の実在した公卿達について書かれた歴史エッセイ。 長年、源氏物語の光源氏が貴公子扱いされているのが疑問だったんですが、この本を読んだら実在の 貴族達の暴力的で幼稚な行動の数々に、なるほどこれに比べたら光源氏は貴公子中の貴公子だと納得。 自分より身分の低い人に、従僕を使って一方的に暴力を加えたり、家を壊して略奪したりしていないし。 この本には色々な貴公子達の暴力行為が載っているんですが、その中でも一番闇を感じたのが 花山天皇の皇女の話。生まれてすぐに何故か独りだけ養女に出されて下級貴族の娘として育ち、女房として仕えた家から 連れ出されて殺害され、犯人についておそらく当時の人は心当たりがあったはずなのに、1ヶ月後に突如適当な人物が 犯人として名乗り出て、その後は犯人にどのように処分されたか、公式の記録にも、貴族たちの日記にも書かれていない。 彼女の出生も、本当の身分も実際には誰もが知っていながら、公式には誰もが知らないふりをしたまま人生が 終わってしまった。その人生の塗りつぶされ方がとても怖い。
#
by yamanochika
| 2020-08-16 19:20
| 歴史
|
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||