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カメレオンの影

カメレオンの影

ミネット・ウォルターズ著 創元推理文庫刊

イラクで爆弾テロのため重傷を負った英国軍中尉。回復後、暴力的傾向が見られるようになったが、折しも近隣の老人が執拗に殴打され殺害される事件が起きており、警察による尋問を受けるが…

アクランドが事件に関係あるのか。次々と出てくる証拠は彼に不利に見えるし、登場人物たちも個性があり、続きが気になって一気に読んでしまった。ただ真相がわかった時に目が覚めるような思考の転換は味わえなかったので少し残念。
アクランドが避け続けたからというのもあるけど、元婚約者についての掘り下げが少なかったように思える。負傷兵や彼らの環境への描写は良かった。

# by yamanochika | 2020-06-20 07:10 | 海外ミステリ

カリ・モーラ

トマス・ハリス著 新潮文庫刊。

故国のコロンビアからアメリカに移住し、獣医を夢見ながら働く美貌の女性カリ・モーラを主人公とし、南国(といってもマイアミだけど)を舞台にした極彩色のサスペンス。
かつて麻薬王が建てた邸宅の管理人として働いていたカリ・モーラは、麻薬王の残した金塊を狙う犯罪集団の争いに巻き込まれる。
最初は対峙する犯罪集団を紹介しながら、徐々に明らかになっていくカリ・モーラの過去もまた凄惨なもので、最終的には金塊を盗むついでに彼女自身の殺害を目論む猟奇殺人者からどうやって逃れるかが焦点となっていく。
明るい太陽の下で血飛沫が舞うような描写をちりばめつつ、かなり早いスピードで物語が展開していき、最後の最後まで飽きさせない。
若干謎が残るとすれば、カリ・モーラがどうやって従姉妹や叔母を呼び寄せたのかという点で、そこ以外は瑕疵なく楽しめた。
映像映えしそうなので、映像作品が見てみたい。


# by yamanochika | 2020-05-27 17:28 | 海外ミステリ

カリ・モーラ

トマス・ハリス著 新潮文庫刊。

故国のコロンビアからアメリカに移住し、獣医を夢見ながら働く美貌の女性カリ・モーラを主人公とし、南国(といってもマイアミだけど)を舞台にした極彩色のサスペンス。
かつて麻薬王が建てた邸宅の管理人として働いていたカリ・モーラは、麻薬王の残した金塊を狙う犯罪集団の争いに巻き込まれる。
最初は対峙する犯罪集団を紹介しながら、徐々に明らかになっていくカリ・モーラの過去もまた凄惨なもので、最終的には金塊を盗むついでに彼女自身の殺害を目論む猟奇殺人者からどうやって逃れるかが焦点となっていく。
明るい太陽の下で血飛沫が舞うような描写をちりばめつつ、かなり早いスピードで物語が展開していき、最後の最後まで飽きさせない。
若干謎が残るとすれば、カリ・モーラがどうやって従姉妹や叔母を呼び寄せたのかという点で、そこ以外は瑕疵なく楽しめた。
映像映えしそうなので、映像作品が見てみたい。


# by yamanochika | 2020-05-27 17:28 | 海外ミステリ

厳寒の町

アーナルデュル・インドリダソン著 東京創元社刊

アイスランドを舞台にしたシリーズの第5弾。

タイ人の母親とアイスランド人の父親の間に生まれた少年が殺害された。移民が多い地区であり、人種差別的な動機が疑われ、エーレンデュルら捜査陣は少年が住んでいた地区や学校を中心に捜査を進めていくが…。

東南アジアの女性との結婚や移民など、社会問題に切り込んだ内容が丹念に描写されている。
移民に対する反感、母親の母国と父の国との間でアイデンティティに悩む子供達。さらに、結婚した家族につれられて異国にやってきた家族達。
いろいろな人たちの立場や感情が描写され、少年の置かれた状況が見えてくると同時に、あっさりとした結末が訪れる。
この真相の味気なさ、苦さ。思いがけない感じがかえってやるせなさを感じさせる。何故、どうして、何かが違っていればこの犯罪を防げたのではないかという。
何故、どうしてといえば、捜査主任であるエーレンデュルの子供時代に起きた、吹雪の中、手を握っていたはずの弟だけが行方不明になり、彼だけが救助された事件もまたやるせない。じっくりとした人間描写と淡々とした人の死という2つが合わさって読み終わった後に若干の寂しさが残る。

# by yamanochika | 2020-05-27 17:11 | 海外ミステリ

火星無期懲役

S・J・モーデン著 早川SF文庫刊

終身刑を受け服役中の囚人フランクは、火星基地建設プロジェクトへの参加を持ちかけられる。
人生を刑務所で終えるか、火星で終わるか。
後者を選んだフランクは、同じように集められた囚人達とともに火星で基地建設をするための過酷な訓練を受ける。
そして火星に着いたあと、彼らはハプニングに襲われ一人ずつ命を失っていくが、これは事故なのか、殺人なのか?

という、火星の人+ミステリというのが売りのSF。
前半の過酷な特訓や、無重力、無音の状態で基地を建設していく模擬訓練、火星でのハプニングを克服し、基地を作っていく描写は面白かった。
章ごとに彼らにたいして火星基地建設を持ちかけた企業の内部事情が語られているため読者には何が起きているか、彼らが置かれている状況は実際にはどのようなものなのかが分かるため、次は誰が死ぬのか、何が起きるのかというサスペンス要素は強いものの、誰が犯人かという犯人を推理する要素は弱い。
そこだけがちょっと残念。

# by yamanochika | 2019-12-14 01:14 | SF・FT